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  25



運がいいのか、悪いのか。

ついた島に海軍の軍艦があることに気付いてはいた。まァ、俺達にわざわざ手を出してくるような中将以上の連中ではないだろうと感じた俺は、ニナが乗ってないか期待してたんだ。
前会ったときは酒も回っていた俺は、いろんな嫉妬を彼女にぶつけてしまったものだから、気が付いた時にはベンに両手両足縛り上げられて船に乗っていた。(あのときのベンの顔の怖さと言ったら)
ただ、彼女に用意していた簪だけは、ベンの手からとはいえ届いたようで、使ってくれてねェかとワクワクしていたもんだ。
あれは絶対ニナに似合う。絶対だ。前のものよりも絶対。
ニナが俺の贈り物を身に着けてくれていると考えるだけでニヤけが止まらないんだから、俺も相当だと思う。(ヤソップには気持ち悪ィとひっぱたかれた)
それだけ俺は、次にニナに会えるのを楽しみにしていた。

だから


「頭ァ!!アンタのお気に入りの海兵が…!!」


頭に血が昇らないわけがない。





「オイ!オイお頭!待てって!」
「五月蝿い。待てるわけないだろう!ニナが捕まってんだ!!」
「落ち着けよお頭!」

まずい。非常にまずいことになった。
ニナがこの島にいたとして、またいつものようにお頭がデレデレして引かれて終わりだろうぐらいに考えていた。
まさか、この島に黒ひげも滞在していて、しかもニナがその黒ひげに捕まったなんて。そんな情報がお頭の耳に入っちまったもんだから、すっかりブチギレてしまっている。
そのせいで垂れ流しになった覇王色の覇気で、船員が一部動けなくなっちまった。ヤソップやルウが止めにかかるが、まったく止まる気配はない。お頭を落ち着かせなければ、危険だ。

「お頭、待て」
「ベン!お前まで止める気か!!俺は行く!!」
「落ち着け。これは明確な罠だ、」
「…罠?」

俺のその一言に、ヤソップとルウを押し返す手が止まる。

「そうだ。あのティーチが、何もなく一端の海兵をただ捕まえるなんておかしいだろう。殺しもせず、捕まえるなんて。しかも、ニナ一人。」
「…」
「何か裏がある。…それに、捕まったのがニナで相手がティーチなら海軍大将も動きかねない。下手に動くと戦争になる」

俺の話をお頭はただ黙って聞いていた。…目は、殺気を含ませたまま。
呼吸は明確に落ち着いたものの、周囲に飛ばし続ける覇気と殺気はとどまることはない。ビリビリとそれを肌に感じながら、お頭の目を見つめながら、俺は実感する。


「そんなこと関係ない。俺は、ニナを取り返しに行く」


この人は、止まらないと。

ギリとお頭に捕まれた左肩が悲鳴を上げる。
俺は溜息を一つ落としてから、腹を決めてもう一度お頭と目を合わせる。

「仕方ねェ。…ここはアンタの船だ。付いていくさ、お頭」
「…ベン」

俺の声に、背後から雄叫びが上がった。
最初から、この人の自由さについていくと決めている。俺も、コイツらも。
だからニナ、俺はアンタに同情してんだ。
やっかいな奴に、好かれちまったとな。


「――――――赤髪のシャンクス」
「…誰だ」

聞き覚えのない声がそこに響き渡り、今度はシンと静まり返った。
声の主に一斉に視線が向く。黒ひげの仲間、ではない。
この顔は…手配書で見た記憶がある。


「…俺に、ニナを取り返す策がある」









ふたつの心臓










よこならび


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