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「ててててテメェクソマリモ野郎!!!ニナさんにッ何を!!!!」
「うるせェクソコック!!俺は何もしてねェ!!」

結局、二人でなんとなく気まずくなったすぐあと、「ゾロ〜!」と間抜けな少年の声が私たちの耳に届いて、先に私たちを見つけたのは麦わらの一味だった。
ロロノア以外に私がいることに気づいた数人が海軍だと大声を挙げたけれど、どうみてもボロボロな私に、船長である麦わらが声をかけきた。

「ニナじゃねーか!ボロボロだな〜大丈夫かァ?」
「…平気よ、」
「平気じゃねェだろ。チョッパー!こいつの背中見てやってくれ」
「ちょ、ちょっと!」

ロロノアの一声で、冒頭の黒足に戻る。なんて言っても私はその時点で服を着ているし、それにもかかわらず背中の怪我のことを知っているのは…どうしてだということだろう。ロロノアの声掛けに、チョッパーが近づいてきて心配そうに私を見上げた。(…かわいい)
私の背中をツン、と一度つついたあと、血相を変えて体を大きく変化させたチョッパーは、私を抱え上げた。

「お前っ、これでよく平気とか言ったな!」
「ちょ、私は海軍で!貴方たちの敵なのよ!」

「怪我人に敵も味方もないだろ!!」

ぴしゃりと怒鳴りつけられてしまい、私は黙り込む。
それを見た麦わらが楽しそうに笑い出したので、キッと睨みつけたが、そんな私にもニコニコと笑みを向けてくるから、本当に調子が狂う。
おとなしくチョッパーに抱えられた私は、彼らの船にそのまま連行されていった。





チョッパーに背中を見てもらうと、案の定骨が数本逝っていたらしい。
ブツブツと「何でこんな状態で平気っていうんだ…ばかなのか…」と何度も何度もつぶやく姿を見ていて、何だか申し訳なくなるくらいだった。
治療後、チョッパーに連れられて甲板に足を運ぶと、麦わらの一味が勢ぞろい。
数回顔を合わせたことはあるし、…なんなら、黒足はこの前来ているし、なんとも微妙な関係性になってしまってるこの一味。複雑な気持ちだ。

チョッパーの「治療が終わったぞ」の一声で、全員の目線がこちらに向く。気まずさを感じつつも、お礼はしなければと船長を見据えて「ありがとう」とお礼する。

「しっしっし!いいよぉ」

大きな肉の塊を片手に、ニコニコと満面の笑みを浮かべる少年。…本当に15億の海賊なのかと疑いたくなるくらい、屈託のない笑み。それにつられたように、他の面々も敵に向けるとは思えない柔らかい笑みを浮かべるものだから、私は何も言い返せなくなる。
…この一味は苦手だ。

「とりあえず、海兵のお嬢さん。パンツ、見せてもらっても」
「「やめろ!!」」

すっと高い身長をかがませて私を覗き込んだガイコツ、…ソウルキングと呼ばれるブルックはの一言に、ドカッとナミと黒足の蹴りがヒット。黒足は、そのあとすぐに煙草をくわえ直して私の前に跪いた。

「あァ、クソ骨野郎が失礼、ニナさん、何か飲み物でも?」
「いい。あと帰るから」

スパっと簡潔に返事をすると、そんなァ!と整った顔が崩れる。…この男は、本当にもったいないと思う。

「いやいや!海軍の船なんて俺達も見かけてないのに、どうやって帰るんだよ!」
「歩いて」
「それは無茶じゃないかしら」
「アウアウ!背中結構な怪我なんだろォ!?」

私の返事に、ウソップ、ロビン、フランキーが続けざまに反論してきた。そんなに畳みかけなくても…
海賊たちはいつの間にか、「私をどうやって海軍に渡すか」についての議論が始まってしまった。どこまでお人よしなのか、私がここで船長を捕えようとするなんてみじんも考えていないんだろう。腹が立つような、呆れるような。そんなことを考えていると、ふと船長に目がいって驚く。さっきまであんなにニコニコしていた男が、いつの間にか不機嫌に膨れている。
そして私の目線に気づいたかと思えば、ぴょんと船首から跳び下りて、仲間たちを押しのけながらずんずんと私の前に歩み寄ってきた。

「おい!ニナ!」
「な、なによ」
「何でおれのこと、名前で呼んでくれねェんだ!」

むうっと眉間に皺を寄せている彼の一言に、「は、」と思わず呆れ声を出してしまった。

「ウソップやチョッパーたちは名前で呼んでるのに、おれは”麦わら”って!ずりィじゃんか!!」
「…ん?よく考えてみりゃ、俺もだ」
「お、俺もだ…!!!」

その流れに乗ってきたのはロロノアと黒足。
ずらっと一味の三強であろう三人が私の前に並び、私を見下ろす。「ちょっと!圧かけすぎ!」とナミが怒鳴り声をあげているが、三人は動く気配もない。
スパーと煙草をふかしながら、「ローのことは名前で呼ぶんだろう?」なんて、黒足が余計な情報をプラスしてしまい、麦わらはより一層不機嫌な顔をした。

「だったらなおさらいやだ!おれも名前がいい!!」
「俺にも下の名前があるんでな」
「サンジ、って呼んでよ。ニナさん」

ずいっと近づいてきた三人の顔に冷や汗をかく。
チラ、と後ろに呆れた顔で集まっている他の船員に助けを求めるが、「無理無理」「諦めなさい」と首を横に振られた。三人に目線を戻すと、絶対に逃がすつもりはない、いう圧。その圧に観念して、極極小さな声でそれぞれの名前を呼ぶと、三人そろって満足そうな顔をした。
「ニナ〜〜〜!!」とそのままルフィは抱き付いてきて、「クソゴム離れろ!」とサンジはそれを引きはがしにかかり、最後にゾロが「気安く触んな」と間に入って私を抱き寄せるものだから、何故かそのまま大喧嘩に。

そのあとすぐ、ナミからのげんこつでその場が収束したのは言うまでもない。









信号機










おおさわぎのふねのうえ



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