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  8


いったい、いったいこの人は
何を言い出すんだ!!!


「ッはあ!?」

「その表情も悪くねェ。」


何故か抱きしめられる形になった私は、目の前の男の胸板力いっぱい押し返す。(び、びくともしないし…!)
そんな私を見てローは楽しそうにニヤニヤと笑っている。
覇気の力でつかまれているからなのか、体がまったく風になってくれないし…
腕から抜け出すこともできない私は、労力を使うのをやめようと、おとなしくすることにした。
その代わり、思い切り睨みつけてやる。

「ク…あのなァ、そんな赤い顔で睨まれたって、怖くねェぞ」
「うるさいッ…!離してッ」
「いやだ、と言ったら?」
「い、意味がわからんッ」

お前は抱き心地もいいんだな、とかわけのわからないことを言ってくるロー。
肩口に額を乗せてすんっと匂いをかがれる。
いい匂いだな、とかなんとかッアァあもう!!!

「俺は、自分で思っている以上にお前に惹かれているようだ」
「は」


「だから、早く惚れろ」


意味不明です。
ふざけて言っているわけではないのは、ローの目と表情からちゃんと伝わっている。伝わっているけれども…!
真面目に書類を書く姿を少しでもかっこいいと思った私はなんだったのか…!


ローの言葉に返事が思い浮かばず、ぐぬぬっと言い淀んでいると、さっきまでのニヤニヤとは違う、柔らかい笑みを浮かべたあと、頬に、柔らかい、かんしょ、く…


「今日は、これで勘弁しといてやる」


ふわりと腕から私の体が解放されたが、私の気持ちは動揺しっぱなしだ。
柔らかさと、温かさがじわりと残った左頬をおさえる。
キス、された

「そのうち、お前からこっちにしてほしくなるようにしてやるよ」

そう言って、自分の唇を長い指でなぞるローは、くらくらするくらい色気があって、顔に熱が更に上がったことが自分でもわかるくらいだ。
別に、今までそういう相手がいなかったわけじゃない。
ただ、能力者になって、私を触れる人なんていなかったし、だからなおさら、自分のこういう免疫力がどかっと下がっていたことに気づかされる。

「覇気め…」
「あ?今、俺は覇気なんか使ってねェ」
「え」

あまりに悪魔の実への知識がない私の様子に、ローは追加だというように話し出す。
スマイルだからどうとか、悪魔の実だからどうとか、そんなことはわからないけど、自然系は”普段”は普通の人間と同じであって、”敵意”を感じたり、もったりすると、体が変化する、というのだ。
確かに、椅子にも座れるし、グラスだってなんだって持てていた。
いつも風の姿だとしたら、触れるわけはないのだ。


「じゃあ、今までは、私が警戒しすぎていたということ…?」

「…今までどうだったか知らねェ。が、俺がいたって普通にさわっているということは…俺に気を許してるととっていいか。なァ、ニナ」


ニヤリとまた不敵に笑ったローの顔。

やられたッ…








大きな落とし穴










はめられた…!!


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