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  4


「「「「能力者ァ!!?」」」」

うるせェ。
ニナのことをクルーを集めて話すと、大きな声で叫びやがるもんだから一喝してやる。
シャチとペンギンが感慨深そうに、そして憧れたように俺たちを交互に見て、「キャプテンしか能力者はいないもんなァ」とつぶやく。能力者ってものがいいと思うか悪いと思うかは自由だが…。
実際、俺がニナをこの船に乗せようと思った理由の一つにそれはある。
海賊でも海軍でもなく、ただ能力者で戦闘慣れもしている様子のこの女。
そんなやつを見つけたんだ。仲間にしておいて損はない。
先ほどの海軍を追い払う様子を見ていても、申し分ない。
海賊として力はついていくだろう、そう感じた。
「大丈夫そうだな」と目線をニナに送ると、


「ありがとうございます。せっかくこの船に乗ることを決めたんだ。役に立たないと。」


そういって俺の言葉に満足そうに、笑った。
それを見て、シャチが「…こんなキレイな子が仲間になったのかァ」とかなんとか惚けながらボソリとつぶやくもんだから、何故か俺はそれに無性に腹が立って頭をゴンとどついていてやった。
「いってぇえー!!」と涙目で叫び声をあげるシャチを横目に再びニナを見ると、ペンギンと何やら話してまた笑っていた。
何故か俺はそれにも腹がたって、「オイ。」とニナを呼んだ。
…が、返事がない
そして、さっきまの笑顔が消えていることにも眉を顰める。
なんだってんだ。


「私は、オイでもコイツでも、お前でもありません。」
「………」



思わず、俺も固まってしまった。クルーも焦った様子でニナを止めにかかるが、そんなこと気にすることなくニナは言葉を続ける。


「いやよ。私。私には名前があるもの。名前は、唯一親が残してくれたものだもの。」


名前を呼んでいないつもりはなかった。が、実際にニナがそういうんだ。呼んでいなかったんだろう。
俺をひるむことなく、恐れることなく、まっすぐ見つめるその瞳。
あァ、やっぱり。
この女を欲した俺は間違っていなかった。
ク、喉の奥で笑いをこらえながら、ニナを見つめる。
そんな俺を見て、ムっと不機嫌そうにする表情すら…。
悪かったなと謝ると、その言葉があればいいとでも言うようにあっさりと謝罪を受け入れるニナは、やはり、俺の見込んだ面白い女だ。


「フッ…イッカク、あとは船内を案内してやれ。最後に俺の部屋に寄れ」


コイツと、もっと話がしたい。
イッカクにそう指示すると俺の言葉に疑問が残っているニナは首をかしげながら俺を見つめていた。
それにもまた口角が上がってしまう。
まァ、あとは二人になったら話をしよう。







ハートの海賊団 いらっしゃい
  






まっすぐな瞳に、飲み込まれそうだ


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