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出航した当初は、「風邪引いてねェかな」とか「泣かされてねェかな」とか何とか、ずーっとブツブツ言っていたけれど、何だかんだ2ヶ月ほど経ち、それがだんだんと減ってきた。…否、ため息に変わり始めていた。

「…はァ」
「おいエース。うるせェよい」
「はァ!?ため息ついただけだろ!」
「それがうるせェんだよい」

ぎゃあぎゃあと喧嘩が勃発したのを、俺たちは日常の1つとしてのほほんと見つめていた。エースと…きっとマルコの心もたった数日でかっさらっていった女の子を思い浮かべながら、どうにかならねェものかと考える。

「電伝虫の番号でも聞いときゃよかったのに」
「ぐ、……そこまで頭回らなかったんだよ!」

思わず喧嘩に口を挟んだ俺だが、そんなのは分かりきっていた。知っていたら…エースのことだ。きっと毎日のように連絡をしているだろうしな。

「はァあ………くそォ」
「すっかり骨抜きってやつだな、エースくん」
「サッチ……俺、どうしたらいいんだ…」

半泣きのエースが俺にしがみついてくるけれど、俺は「どうしようもねェだろ」としか返事ができず。(頼りにならねェ兄ちゃんで悪いな)
そんな会話に、大きな笑い声が割いってきた。それはもちろん親父で、俺たちは「何が面白ェんだ?」と親父の顔を見上げる。

「グラララ……エース、あの島はな…春島のくせ、たった1日だけ大雪が降る日がある」

ニナちゃんの話だったはすが、あの島の話をしだした親父に、誰しも首を傾げていた。

「雪?冬島でもねェのに?」
「あァ…それを昔の連中はその雪を"神の涙"と唄い、神がまた笑えるよう祭りを開く風習が出来たそうだ。その祭りが確か、この時期だったはずだ」
「………祭り」

その島というのはもちろんらニナちゃんがいる島。何で親父がそんなに詳しいのかって…まァ、新世界に長くいるんだ。知ってる事も多いだろうからな。

「グララララ…行ってきたらいい」
「!お、親父っ」
「可愛い子には旅をさせてェだろう」
「っ〜!親父〜〜!」
「グララララ!」

親父の言うことに反論する気はないが、周りにいた俺たちは頭を抱えた。色んな事情が強いエースを独り歩きさせるのには、俺たちの胃がもたないのが事実。…まァ、親父がいいっつーならいいけどよ…

「マルコ、お前も行ってこい」
「っな」
「エースの付き添いってことにしといてやる…グララララ…」
「………っ親父には…適わねェよい…」

親父にはお見通しってわけか。
もちろん、俺様にもお見通しだけどな。
そうと決まればと言わんばかりに、エースはストライカーを準備しだした。エースの馬鹿なところは、マルコがニナちゃんに気があるだろうことをよく分かってねェことだ。だから、「マルコがいりゃァ大丈夫だな!」とか笑ってやがる。一方のマルコは、なんとも複雑そうな顔をしているが。

「じゃあな!いってくる!」

キラキラとした笑顔で手を振るエースと、微妙な顔のマルコ、2人に手を振り返しながら俺はあの女の子のことを考える。恋人がいるらしいあの子のことだ。初めて会った時のことを考えても、2人が急に現れたところで靡くことはないだろう。…けど、動けずにはいられねェのが俺たち海賊だから。







まってて、








腹を括って

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