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「んで、仲直りしたってわけ?」
「うん」
「……はあ」

頭を抱えたのはナミ。
隣で優しく微笑むのはロビンだ。
ローたちとすれ違うようにやってきた麦わらの一味だったが、今回は私の前に真っ先に現れたのはナミとロビン。「男たちは今日1日近づかないように言ったから!」とナミは言っていた。
2人にデザートを出したあと、「トラ男とは最近会った?」とあまりに楽しそうな顔でナミが言うものだから、最近のことを話したのだけれど…

「ふふふ。相変わらずね」
「そんなに変なことあった?」
「あーいいわ。別にいいけど。アンタら、本当にお互いがお互いに甘いわよね」
「?そうかな」
「ええ。私もナミに同感だわ」

ロビンまでそう言うから、ええ、と唸る。私自身そんなつもりは無い…というのは嘘かもしれない。色々と振り返ると、ローだから許してることもあるし、ローだから嬉しいこともある。…今回だって、ボロボロに抱かれたけれど、それはローの心配とか嫉妬とか、いろんな気持ちがあった訳で…なんて、許してしまっている。…ように、見えるんだろうな。
私としては、納得した上で許してるんだけど。

「ま、アンタが良ければいいの。私たち」
「そうね。トラ男くんに泣かされたら、いつでも連絡して」
「うん。ありがと」

そんな会話をして、2人は帰っていった。時間にして4時間。すご。女子会というものをやれたから、私はほくほくと嬉しさが込み上げていた。2人に、少しずっ咲き始めたポーチュラカもプレゼントした。お店の周りをいっぱいにして、次にローが来た時に驚かせる作戦なのだ。(このために旅に出たのだから)
明るい日差しに負けないように、水を撒いていると、背後から声をかけられた。

「ニナさんに似合うお花だ」
「……今日は近づかないように言われたんじゃなかったの?」
「買い出しに来たら、素敵な女性を見つけただけさ」

また口先上手な。
むう、と声の主に改めて目線を送ると、穏やかな笑顔でサンジが佇んでいる。「ナミに怒られてしまえばいい」と悪態をつくと、「それはそれでいいいよ」なんて。もう追い返す理由が無いじゃないか。

「なんてお花だい?」
「ポーチュラカ」
「名前も可愛らしいんだね。」

尚更、キミにぴったりだ
と、隣で微笑むサンジは、本当に王子様みたいで。(ほんとにメロリンなんかしない方がいいと思う)
私がお花の手入れをしている間、ずっとサンジはそばにいて、他愛もない話をしていた。この島でよく捕れる魚介類とか、珍しい木の実とか。ほとんど料理の話だけど。しかし、サンジはみんなもとに戻る気配はない。

「戻らないの?」
「もう少し、ニナさんを独り占めしたい」
「……ナミに怒られてしまえ」
「さっき聞いた」

に、と少し無邪気に笑うサンジは少しだけ幼く見える。(そもそも私より年下だったはずだけどね)ポーチュラカに水をあげ終えて、私は店に戻ろうとすると、やっぱりサンジが付いてきて、今度こそ「何か用なの」と見つめる。何だか今日のサンジは不審だ。

「……… ニナさんが」
「え」
「… ニナさんが、居なくならないように」

特徴的な眉を、少し寂しそうに下げた。そのあとすぐにごめんね、と言葉を続けてから、ナミとロビンとの話を聞いていたことを話し始めた。

「俺がローと同じ立場だったら…気が狂いそうだと思っていたんだ」
「サンジなら、?」
「…いや、きっとローも」

サンジは持っていた買い出しの荷物をテラスの席に置いてから、私の手をするりと取った。あまりに自然すぎる動きに、私は振りほどくことができずにいた。

「… ニナさんがここに居ると、実感したくなる」

一度、失ったからこそ

ぎゅう、と私の手を握りしめる力が強く感じられる。それがサンジの気持ちをしっかりと私に伝えてくれている感じがした。

「柄じゃねェが、ローに同情しちまった」
「ふふ、本当…柄じゃない」
「…けど、俺とアイツは同類さ…。キミを好きになったんだから」

そう私をあまりに愛情深い瞳で見つめてくるサンジは、年下とは思えないくらい、大人っぽくて色っぽくて。私は思わず、その水色の瞳に見惚れてしまった。






深く青い瞳に







吸い込まれてしまいそう


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