誰も知らない私の姿

「…夢、じゃないよね」
私は自分の頬をつねった。普通に痛い。
「…ここ、どこ…?」
目の前に広がる景色は、知ってる景色じゃない。
でも、何故か見たことあるような…
「ん?」
まるで黒い塔のようなビルが目に入ってきた。
「どこかで見たような…」
夜空をバックにそびえ立つ、まるでこの世を支配しているような、そんな威圧感のあるタワービルだった。
「…ノナ…タワー…?」
そう。それはまるで、PSYCHO-PASSに出てくるノナタワーそのものだった。
はっ、として、改めて周りを見渡してみる。
近未来な街並みは、ひどく人工的なホログラムで溢れかえっている。眩暈(めまい)がしそうだ。
「…ここ、PSYCHO-PASSの世界…?」
PSYCHO-PASS−サイコパス−…私の好きなアニメだ。
私は、昔に読んだトリップ小説を思い出した。状況がよく似ているような…。
つまり、これはいわゆるトリップ、というやつなのだろうか?
「これってトリップ…?そんなこと、実際にあるの…?」いまいち自分の身に起きたことがまだ理解できていない。
「どうすればいいの…?」
まぁ、(恐らく)知っている世界に来ただけいいのだろうか…?
私はPSYCHO-PASSのファンだ。だからこそ、この世界ならではの独自の危険性を知っている。
「…私の犯罪係数…どうなってるんだろう?」
犯罪係数が高いと潜在犯として扱われる。つまり、色相が濁っていたら危ない。
(でも確か、街頭スキャナーは色相判定しかしないんじゃなかったっけ…。で、ストレスが少ないと色相は安定する…はずだから…)
ふう、と大きくひとつ、深呼吸をする。
よし、大丈夫。疚(やま)しい心がなければ大丈夫だろう。
私はそう信じて歩き出した。
とりあえず、何か行動を起こさなければこのままなのだ。

→続く

[ 2/9 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -