「先生ー!手裏剣的に当たんないよー!」
「肩に力入っちゃってるね?深呼吸してスナップ大切にしてもう一回頑張って?」
「先生ー手裏剣の刃ボロボロー!」
「ごめんごめんーちょっと待ってね」
修行熱心な生徒たちに感心する。こうして逞しくなっていく生徒たちを日々感じて嬉しい。手裏剣の補充しとかなきゃ直ぐボロボロね。
ガチャリ、
鉄の無機質な音が倉庫に響く。これは人を殺める道具。あんなに一生懸命修行して生徒たちは人を殺めるのかと考えると胸が痛い。しかし、それと共に大切なものを守れる人になってほしいと願う。
そんな色々な思いを乗せた手裏剣は酷く重たい。よたよたと下を向き歩いていると影が現れた。
「!、なんで」
「よ、」
「っ、シカマル。あの、」
「なまえ、俺さ、みっともないくらいなまえのこと好きになっちまった」
「、、、だもん」
「?」
「好きが、分かんないんだもん!今の想いが永遠になる保証なんて全然ないじゃない」
好きってなんだろう。人を愛して愛される。
そんな気持ちを教えてくれる人は私にはいなかった。目の前で殺された父と母。本来なら愛を教えてくれた人たち。
色々な想いが私を弱くして、気づけば頬を涙が濡らしていた。
「先生ーー!!!ってシカマルじゃん!先生なに泣かしてんだよ!!」
すると、タイミングが悪いのか良いのかしびれを切らした生徒が駆けてくる。シカマルとどうやら顔馴染みらしいソウマはなまえとシカマルを見て原因がシカマルにあると思いシカマルに突っかかる。
「ソウマの先生ってなまえか?」
「そうだよ!先生泣かしたらシカマル許さねーからな!!」
「なまえ、愛がわかんないんだって?もうなまえは愛されているじゃねーか。それに俺が愛を教えてやるよ?」
「なにシカマル先生口説いてんだよー!」
「口説いてなんてねぇよ、本気だ」
「っ」
どくんどくん、と跳ねる心臓。身体中が心臓になったみたい。
「先生、」
「あ、なに?ソウマ」
「かーちゃんが言ってた。好きって気持ちは考えるんじゃなくて感じるんだって。理屈とかじゃなくてその人のことを想っちゃうんだって、俺はとーちゃん知らねーんだけどな」
「ソウマ、」
「俺はなまえのこと知らねーうちに想っちまってた。逢いたいって想っちまってた。」
「シカマル、……私も」
現場に出ない私が唯一シカマルのことは知っていた。初めて話したときからもっと話したい。また、逢いたいって想ってた。
「シカマルをのこと、想ってたよ」
言い終わる刹那視界が暗くなる。シカマルの香りがなまえを包む。
なまえはシカマルに抱き締められていることに気づくのに時間はかからなかった。煩く鳴く心臓が恥ずかしい。だけど、もう1つ煩く鳴く心臓を見つけた。
私だけじゃない、シカマルも……
一緒なんだね?
(ごめんなさいね、ソウマ)
(かーちゃんに報告だな)
(え、ちょ、それは…)
(何でだよ、)
(そ、そう言えば、シカマルとソウマ知り合い?)
(あぁ、ソウマの父親は俺の師だった人だ)
(俺たちのガキの師は決まりだな)
(え)
(しゃーねーからこの猿飛ソウマがみてやるよ!)
(ちょっと二人とも、気が早すぎ。てか、ソウマの前でやめてー)
こうして廻る世界……
あとがき
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