「どうしよう」
辿り着いたのは以前彼と出会った彼の特等席と呼ばれる場所。期待してるのかな?彼に会いたいの?彼に会って何を話すの?自分でも分からない気持ちが交差する。こうして入れなくてもう随分時間が経ってる。
「なまえ」
突然私を呼んだのは当然彼で、
「シカマル……偶然ですね?」
「ククク、そうだな」
偶然を装うけど、無理のある誤魔化し。
でも……シカマルの笑顔。
きっとシカマルは私がここに来るずっと前から動かない気配に気づいてたのかもしれない。恥ずかしい。休みだって上司のイルカ先生にそれとなく聞いて知っていたんだから私はどうかしてると思う。
「なまえも雲見に来たのか?」
「あ、はい!」
「ん、じゃあ寝っ転がろうぜ?」
少しずれて私の場所を空けてくれるシカマル。太陽がキラキラして気持ちいい。
「気持ちいい。すごく空が近い」
「曇っていいよな」
「え」
「なまえは好きなもんとか大切にしてるもんってあるのか?」
「好きなもの大切なものですか?」
なんだろう。生徒たち?家族?里?
「ま、そんなこと考えられるのも平和だからだ。ってことで俺は平凡平和に過ごすことだな」
「ふふ、なにそれ」
でも。うん、わかるよ。シカマル。
見上げた空はいつも通り青くて澄んでいた。
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