「た、ただいまーだってばよ」
生まれてずっとこの家に一人暮らしのナルト。帰宅して“ただいま”と無事に帰ったという挨拶ですらナルトにとっては初めてのことでまだ、慣れていない。そんな、ナルトのただいまの声に小さく笑い玄関に迎えに行く。
「おかえりだって…ば、ね……その怪我」
笑顔で迎えた先にいたのは、大きなガーゼを頬に貼っているナルト。実はこんなことは今日に始まったことではない。こんなの日常茶飯事であるというナルトに笑うとこじゃないと怒ったのはつい先日。私の世界では異常だということを話せば返ってきた言葉は“忍びだから”
なんでそんな危険な仕事をするの?
「ちょっとへマしちまったってばよ…でも、こんな怪我すぐ治るから心配すんなってばさ。それに俺、怪我の治りは早い方なんだってばよ」
「怪我の治りは関係ないってばね……怪我、してる。心配するに決まってるってばね!!」
「かあちゃ、…クシナ…、」
「忍びが危険な仕事だっていうのも理解したつもり…なんで、忍びなんて危険な仕事…心配するわよ!こんな怪我して帰ってきて……ナルトの事だから無茶してるんでしょ?……してよ、」
「え、」
「……、自分をもっと大事にしてっていってるんだってばね!!!」
「……ごめんだってばよ。…泣かないでくれ、俺」
泣いて戸惑うナルトだが、怪我は任務でも修行でもしてしまうことを話す。でも、無茶は必ずしないことをクシナに約束した。泣き止まないクシナに慌てながらも感じるものがあったのかナルトは真剣な面持ちで話す。
「クシナ。俺が忍びになるってことは生まれた時から決まっていたんだってばよ。俺の父ちゃんと母ちゃんは立派な忍びだった。今は違うけど、クラマから里と俺を守って…死んだ。……父ちゃんと母ちゃんは俺の誇りだってばよ!」
(母ちゃんが生きていたらこんな感じなのかな)
(ん?)
(いや、親って子どものこと心配するもんなのかなって)
(そんなの当り前じゃない!親じゃなくてもナルトみたいな無鉄砲者心配するわよ、ばか)
(!)