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木の葉での生活に馴染みつつある私は日課の修行をしていた。護身用に覚えておいて損はないかと思っての事だったが、指導にあたるナルトは根っからの感覚派らしく指導というには程遠く効果音での説明に苦労する。今日は手裏剣剣術を教えてもらっている。当り前だが、手裏剣やクナイに触れるもの初めての私は手の中の冷たい重さを感じていた。これは人を殺めるための道具なのだ。
1つ深呼吸をしてナルトの指導になっていない指導を思い出す。お手本で放ったナルト。ナルトは手裏剣を人指し指と親指で挟み、手首のスナップによって投げているようだった。
よし、私も


「ぎゃあぁぁああああ!!あ、危ないってば!」

「!…うるさいってばね!それならちゃんと教えてよ!」


勢いよくクシナから放たれた手裏剣はあろうことかナルト向かっていった。寸でのところで躱したナルトがぎゃーぎゃーと喚く。“ぎゅん”とか“しゅん”とか、効果音のみのナルトの指導で手裏剣を放てたことにナルト以外のメンバーはクシナに心の中で称賛を送る。


「ナルト、嬉しそう」

「クシナさんに自分の母親を重ねているんじゃないですか?」

「…だろうね」

「…ナルト」


泥だらけになりながら本当にいい表情で笑っているナルト。生まれて直ぐに父と母に愛情を貰ったとはいえ同世代の子たちに比べて辛く悲しい思いも沢山してきたことは容易に想像がつく。例え、母親ではない別の世界の別の人物だとしても容姿はその死別した母そのものの人物が目の前にいるのだ。



(俺でさえクシナさんが生き返ったように錯覚してしまうほどなんだ…。ナルト、お前は……)