冬の海は冷たい。波しぶきは白く弾き浜に押し寄せる。空が低く観光客のいない浜ではこの地球…世界に私たちしかいないような錯覚までおこす。ゾッとするけれど、ミナトとならそれも悪くないと感じてしまう。私はかなり末期の様だ。
「静かね」
「そうだね」
「丸いんだね、地球」
水平線が緩く弧を描いている。地球の一部であるがそれを見ていると地球はやっぱり丸いんだと再認識される。そんな、自然の当り前がすごく感じれる。
「クシナ、寒くない?」
「え、」
言葉と同時に抱き寄せられる肩。
ドキドキ…ドキドキ、
心臓が暴れる。落ち着けなんて暗示もなにも効かない。
「ちょっと、震えてたよ」
「…あ、暖かいってばね」
ぎゅうと更に私はミナトの腕の中にすっぽっりと収められる。鳴りやまない私の心臓、緊張しっぱなしだな…それに比例して口癖がいつもに増して多い気がする。
ドクンドクン…
あ、ミナトも、ミナトも緊張しているの?
「ドクンドクン、してるってばね…」
「っ、そ、そりゃ、好きな子と一緒にいたら俺だって緊張くらいするよ」
「はは/ふふ」
顔を見合わせる私たち。
あぁ、すごく幸せ。
(こんな日が毎日だったらいいのに)
(本当だね)
(///)