03


「ん゛〜……」

「ほら、これをここに代入」

「お!なる程」


学年トップクラスの2人の勉強スピードは素晴らしいものだった。1教科100ページ程ある問題集を片っ端から解き理解していく。


「……あんまり焦ることなかったみたいだね」

「そんなことないわよ!だって…今のところ全部ミナトに教えてもらってるのよ?これじゃあ、ミナトより点数悪いってことになるってばね!」

「はは、……元気になったみたいでよかった」


ノートを走るシャープペンシル。それは止まることなく数式を完成させていく。


「あ、俺コーヒー飲むけど、クシナもいる?」

「……」


ミナトの声すら聞こえないほどに集中しているクシナを見て、微笑むミナト。ミナトがクシナを好きな理由の1つであるところ。“必死に頑張る姿”


◇◇◇


どのくらい経っただろう。窓の外は真っ暗になり、星が瞬いている。



「あ、ミナト」

「ん、」


クシナがミナトの名前を呼び振り返るとにっこり微笑み待っていてくれたミナトがいた。


「頑張ってたね、クシナ」

「ミナト、ごめんってばね。私たったら集中しちゃうと周りが見えなくなっちゃって…」

「俺は頑張ってるクシナが俺好きなんだ。それに尊敬してるんだよ」

「///」


そう言いながらクシナの長い髪をとくように頭を撫でるミナト。テスト前とは思えないゆっくりとした幸せな時が過ぎていく。


そして、テスト発表当日には“波風ミナト”と“うずまきクシナ”の名前が一位、二位の欄にあったという。