「どこに、向かっているんですか?」
「…着いたら分かるから……」
教室を離れて向かっているのは第二体育館。体育館は普通の体育や集会で使うけど、今、目の前に近づいてきている第二体育館は生徒立ち入り禁止の危険区域。なんでも、以前体育の授業で大きな事故があったとかないとかという噂もあればただ単に床が朽ちてきて新しい体育館を作ったので要らなくなったとか。私的には、後者であってほしい。(切実に)
「着いたよ」
「(やっぱり、)…先輩?ここは生徒立ち入り禁止ですよ?」
「うん。でも…ごめん、頼まれたから!」
ドンッ
「え、」
いきなり突き飛ばされ気がつけば体育館の中。扉は先輩によって直ぐに締められた。ガシャンと南京錠だろう鍵の締まる音が酷く響く。
「先輩!先輩!なんで!開けてください!!」
返事は返ってこない。扉はびくともしない。遠ざかっていく足音は先輩一人だけじゃない複数ある。つまり、私は嵌められたわけになる。
「はぁ、」
頼りの携帯を開いてみるが、やはりというかお決まりの圏外。多分、圏外だと調査済みだったから荷物を持ったまま来させたんだ。
「どーしよっか……」
第二体育館は学校とも住宅とも離れていて大声を出して助けが来ることはまず無い。立ち入り禁止ということで窓には確りと板が打ち付けられていて窓からの脱出は不可能だろう。
「一応、調べてみるか」
制服の袖をたくしあげ脱出の糸口を探し出す。