今日はスーパーのタイムセール には確実に間に合わないわね。 昼休みに頑張ったけどまだまだ 生徒総会には間に合いそうにな いということで放課後も残るこ とに。
「クシナそろそろ外が暗くなっ て来たから君は帰った方がいい よ」
「まだ、夕方よ?…それに私一 人暮らしだから親なら問題ない わ」
「違うよ…君に何かあったら俺 が嫌なんだ」
「え……」
ミナトから聞こえた言葉に胸が 跳ねる。ミナトを見れば既に帰 り支度を始めていた。
「ミナト…?」
「やっぱりクシナを送るよ」
「でも、資料作り」
「俺が家で少しはやってくる。 それで間に合うはずだよ。ほ ら、帰ろう?」
私の鞄を差し出して笑うミナト の髪は夕日に照らされ輝いてい た。
「きれい、……っ!///」
「何が?」
「な、何でもないってばね!」
「教えてよ……そんな真っ赤に なって何を綺麗って思ったの か、」
真っ直ぐな青い瞳に見つめられ ると私は弱いみたい。固く結ん でいた口がしゅるしゅると開 く。
「………ト、」
「ん?」
「ミナトの髪が!!!」
「………」
私の叫びにぽかーん顔のミナ ト。だけどだんだんミナトの顔 が赤くなってく……?
「ハハ、なーんだ。クシナの方が 綺麗なのに……」
「な///……ミナトは私が何を綺麗 と思っていると思ったの?」
「夕日」
「…夕日?」
「そ、綺麗だろ?クシナの髪と 同じ色で綺麗だ」
綺麗?私の髪が?
「夕日に申し訳ないよ」
「何で?」
「私、この髪が嫌いだもん」
「なんで?……綺麗なのに」
「皆と違うじゃない」
「それ、だけ……?」
「それだけって……他にもあるけ ど……」
「俺は好きだよ。それに皆と違 うから俺は直ぐにクシナを見つ けられる。まぁ、クシナが髪を 染めても直ぐに見つけるけど ね…」
「ミナト、」
「片付けて帰ろっか?」
資料を片付けていくミナトを私 は見つめることしか出来なかっ た。野球部の声援や吹奏楽部の トランペットの音色が響く中、私は泣きそうになっていた。