恋の時間
「なまえちゃん…俺、なまえちゃんが好きだ」
暫し呆然。そして、気づけば私の顔に熱が集まってくる。突然の状況に私は自分でも分かるほど顔を真っ赤っかにしていると思う。こんな顔カルマ君見られたくなくて私はカルマ君の胸に顔を隠し黙る。
「……返事、欲しいんだけど」
「えっと、あの…」
「ダメ?…俺のこと嫌い?」
「嫌いなんか!寧ろ!!」
「寧ろ?」
「〜〜〜〜っ」
「言葉にして?」
「だって、私 カルマ君に言えないことある」
「うん、いいよー」
「えっ、いいよーって軽っ!」
「いいよ。本当に。俺は俺の手でなまえちゃんを守りたいと思った。なまえちゃんが俺やみんなに言えない秘密があるのも気づいている。それでもなまえちゃんはなまえちゃんでしょ?お願い、1人で傷つかないで、」
カルマ君はなんでいつもいつも私の欲しい言葉をくれるんだろうか。1人だった。知らない世界で中学生になって超生物の暗殺。元の世界に戻れるかどうかわからない不安。元の世界では私はどうなっているのだろうとか……
でも、私はこの世界の人間ではない。いずれは元の世界に帰る時が来る。私は悩んでいた。カルマ君の事が好き。いつも私を守ってくれるカルマ君。いつの間にか大切になっていたカルマ君。離れたくないよ……だけど、その時が来ればカルマ君とは――
「なまえちゃん…それは言えないことでもしかして返事に困っている?」
私は静かに頷く。頷いた時に反動で零れ落ちる涙。どうやら私は涙脆くなってしまったらしい。カルマ君はそんな私をもっともっと優しくそして強く抱きしめる。
「何も考えないで……」
「……」
「俺のこと考えているなら考えなくていい、なまえちゃんの気持ち……教えて?」
「好き…」
「なまえちゃ、ん」
「大好き!!!大切になっちゃってた!!私、私…ダメなのに!こんなこと思っちゃダメなのに!!カルマ君のこと大好きになっちゃってたよ!!!」
「っ、ヤベー 俺、今めちゃめちゃ嬉しい。大丈夫、なまえがここにいる限り俺が絶対守ってみせるよ」
◇◇◇
「それでさ、こんなことあったし今日一緒にいたいんだけど…」
ということで、私は赤羽家にお邪魔しています。カルマ君によれば、
「実は、母さんになまえのこと話ししてたんだ」
「え、」
「じゃあ、連れてきなさいだってさ」
ということらしい。いきなり親公認ですか??!
と、緊張していたがカルマ君のお母さんはこの親にしてカルマ君有りというほどフランクで優しいお母さんだった。嫁姑問題もこれで安心ね……って何考えてるの!!
「心配していたのよ。カルマが女の子1人暮らしだって言ってたから…でも、もう安心ね」
「え?」
「これからはカルマが守るんでしょ?」
「え、」
「もちろん、そのつもりだし」
「こんなカルマだけどなまえちゃんよろしくね」
優しい笑顔でそう言ったカルマ君のお母さんが私のお母さんと重なって涙が出そうになった。
「こ、こちらこそよろしくお願いします」なんて、本当に親公認的な挨拶。
「さて、じゃあ今晩はご馳走にしなきゃね!」
「あ、手伝います」
「いいのよー!いつも家事してるんでしょ?手伝ってほしいけど今日はゆっくりしてほしいな?お願いしていい?」
なんて、とびっきりの笑顔で言われちゃ下がるしかない。「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて…」と、私とカルマ君は夕飯が出来るまでカルマ君の部屋でゆっくりさせてもらうことになった。
「ねーカルマって呼んで?」
「ふぇ?」
「あはは、なにその返事…だってさ、付き合ったんだろ?俺等、俺もうなまえって呼んでるし」
突然のカルマ君の要求。確かに、思い返せば両想いと分かった時からカルマ君は私のことをなまえと呼んでいる。
「ほら、」
「え、ちょ!急だよ」
「別に急じゃないよ…ね?」
にっこりと悪魔が降臨なされた。気のせいかな?カルマ君に尻尾と角が生えているように見える。ニヤニヤと楽しそうなカルマ君。絶対楽しんでいる私がテンパっているのをみて楽しんでいるよ、この悪魔。でも…確かに付き合ったなら、
「カ、カルマ」
「んー、なーに?」
にこにこと嬉しそうなカルマ。その笑顔をみてよかったと思ってしまっている私はかなり重症らしい。
カルマと私、なまえは付き合うことになりました―――