23 友人の時間
「そういえば、なまえちゃん喋りやすくなったよねー」
「わかるーなんだか、来た頃のなまえちゃんって近づくなオーラ出てたもん〜」
と、矢田ちゃん倉橋ちゃん。突然何を言い出すのだろうか彼女たちは。喋りやすくなったとは喜んでいいのかな?2人ともうんうんと頷き何やら昔を思い出しているらしい。私は首を傾げてみるけれど確かにこの頃は、慣れてきたというか諦めてというかE組のみんなとも交流は出来ていると思う。
「そうだ!なまえちゃん、私のこと下の名前で呼んでよ!」
「私も〜陽菜ちゃんって呼んで〜」
「えっと…じゃあ、桃花ちゃん、陽菜ちゃん」
呼び方を変えるのって少しだけ恥ずかしい。ドキドキしながら2人を呼ぶと2人ともぱぁっと花咲いたように笑顔で喜び飛び跳ねている。相当私に近寄りがたいイメージがあった様子で少々ショックだ。これから気を付けよう。
「なーにしてんのよ!」
「莉桜ちゃん!」
「今ねなまえちゃんが喋りやすくなったねって話してで、下の名前で呼んでもらったとこ」
「ふーん、じゃあ私のことも莉桜って呼びなよ」
「り、莉桜」
突然現れた中村…莉桜に言われるがまま名前を呼ぶ。名前呼びになると一気に親しくなった気になるから呼び方って大切だなって再確認。すると、莉桜はニヤニヤしながら私に近づいてくる。
「でさ、どーなのよなまえはカルマの奴と付き合ってんの?」
「あ、それ私も気になっていた!」
莉桜に便乗し乗り出してくる2人。ちょ、なんでそんなことに?確かに家の方向が同じだから登下校は一緒の事が多いし、席も隣だから話す機会も多いから自然と……でも、
「え、なんでそんなことになってるの?付き合ってないよ」
「え、そーなの?じゃあ、なまえはカルマの事どー思ってるのよ!好きなんでしょ!」
「な、なんで?………うー、ちょっと気になってるかな?」
嘘をつけるはずもなく俯きそう言うと騒ぐ3人。
「お、お願い!!カルマ君には言わないでね!」
「う!こーいつもはしっかり者のなまえにこういう顔されると」
「なまえちゃん可愛い〜」
「なまえちゃん告白しないの?」
告白……
「しないよ、……出来ない」
出来ない。私はこの世界の異物。いつ元の世界に戻れるかわからないけど、いつかは帰るべき元の世界に帰る。確かにカルマ君の事が気になるというか、好きだと思う。いい歳(精神年齢)した大人が中学生にって思うかもしれないけど、いつも私を守ってくれるカルマ君。いつの間にか大切になっていたカルマ君。離れたくないよ……だけど、その時が来ればカルマ君とは――だから、
(なんか、これは地雷踏んだ?)
(私たちで見守らなきゃ!)
(よし!カルマとなまえを見守る会発足だ!!)