13 修学旅行の時間
電車の中。修学旅行の為に一行は京都に向かっていた。
昨晩は寝れずうとうとしだしたのは今朝の4時頃。結局は2時間ほどしか寝れなかった。なんだかんだとこの旅行を楽しみにしていたかなんて決してそんなことはない。寝る前に京都に行くかと思うと、先週の怖い話を思い出してしまったのだ。で、寝れなかった。
車両内は盛り上がるみんなの声が響いている。みんなの盛り上がりはロートーンの私には少し堪える。
「あれ、なまえちゃん寝不足?」
「え、うそ 隈出来てる?蒸しタオルしてきたのにな…」
テンションが低いとはいえ私の寝不足に気づくカルマ君。今朝は温タオルと冷タオルを交互にして隈を一生懸命とってきたというのに。
「いや、隈はできてないけど…なんとなく」
なんとなくで私の隈取りの苦労は見破られてしまうのか……
カルマ君に隠し事は難しい。
そこに、神崎さんがほほ笑みながら声を掛けてきた。
「ね、飲み物買ってくるけど2人は何がいい?」
「あ、私も」
「俺はイチゴ煮オレで、なまえちゃんは綾●」
「わかった」
遠ざかる神崎さん。私も一緒にという言葉はカルマ君によって遮られてしまった。
それにしても、
「なんで、分かったの?」
「ん?あぁ、いつもお茶飲んでるでしょ?で、綾●飲んでること多くない?」
全くその通りです。
ジュースも飲むけどさっぱりしたお茶を飲むことが多い。しかも、今は寝不足でさっぱりしたお茶を私の体は欲していた。
「それより、まだ京都まで時間あるし寝てたら?」
寝顔を見られるの嫌だなって考えているとすっと差し出されるカルマ君の上着。大きなカルマ君の上着からは当り前だけどカルマ君の匂いがする。……私、匂いフェチだっけ?
「貸してくれるの?」
「…涎つけないでね〜」
「…つけちゃうかも ………うそ、カルマ君ありがとう」
中学生でこの気の利きよう。モテ男なんですか?!カルマ君!!!
なんて冗談じゃないことを思いながらカルマ君の上着を頭から被せる。視界は暗くなり睡魔が襲ってくるが……
カルマ君の匂いでなんか、なかなか寝れない!!!
3年E組 暗殺修学旅行は始まったばかり―――――