12 放課後の時間 another



怖がらせた責任ということでなまえちゃんの家に行き泊まることになった。冗談で「…俺が今日一緒にいてあげようか?」なんて言ったけど安心した表情で喜ぶなまえちゃんを目の前に「冗談だった」なんて言える訳もなくお泊りは決定した。

高級感溢れるマンションに着くと部屋もかなり広く一人暮らしの部屋なんて見たことないから知らないけど、知らなくてもこの部屋が広いことなんてわかった。

部屋を見回り違和感。
それは、アルバムなどなく…云うならば、テレビとか教科書はあるけど生活感というかなまえちゃんが今まで生活していなかったというような感じがした。まるで急いで揃えたかのような部屋。だけど…以前泣かせてしまった前科があるのでなかなか聞くことはできず、


「完全に一人暮らしって感じの部屋だね」


なんて、曖昧な部屋の感想になってしまった。



◇◇◇



なまえちゃんの作った晩ご飯も食べ終わり片付けを手伝う。それに、驚かれたけどにっこり笑顔を向けられたら思いと反対の言葉しか出てこないで「水が飛んだ」とか「泡がついた」とか、自分でもしょうもないことを言っていた。

それからは、2人で宿題を済ませて、テレビを見ている。CMになり夏の特番の心霊特集の番宣をしている。ビクっと肩を震わせたなまえちゃんに気づく。そんなに怖いのダメだったんだ。…ちゃんと覚えとこ(意味深)


「あー、折角忘れかけてたのにね」


と、よしよしと頭をぽんぽんと撫でてやると元気なく頷き肯定の意を表すなまえちゃん。なにこれ、小動物みたい。


「そーいえばなまえちゃんは他に苦手なものとか嫌いなものないの?」

「えーカルマ君に教えるとロクなことにならない気がするんだけど、」

「酷いなーそんなことしないって」


疑いの眼差しのなまえちゃんに笑顔を向けておく。なまえちゃんの中の俺のイメージでそんな奴?
……今までの行動を思い直す。うん。意外とそんな奴だ。
少し考える素振りを見せたなまえちゃんだけど、恐る恐るという様子で話し出す。


「そうだなーこれといって苦手なものは怖いものでしょ得体のしれないもの、雷、地震」

「なにそれ自然相手ばっかじゃん」

「自然には勝てないからね、怖いよ」


なんて、意味深なことを言って時計を見るなまえちゃん。俺も時計を見れば10時を指していた。



◇◇◇



順番にお風呂に入って、あとは寝るだけ。だけど、これがなかなかの難所。


「「…」」


俺となまえちゃんの見つめる先には1Rのベッドと簡易布団。たぶん、俺となまえちゃんの考えていることは違う。同じ空間にって…一応俺も健全な年頃の男子なわけで、俺的には廊下でもよかったくらい。


「カルマ君ベッド使って、私下で寝るし」

「は?」


すると、更に耳を疑うようななまえちゃんの台詞。


「何言ってんの?俺が床で寝る、なまえちゃんはベッドね」

「…ありがと」


何やっちゃってんの!俺!!!
バスタオルを頭までかぶり火照る顔を隠す。


「電気消すね。おやすみ」

「…おやすみ」


すると、直ぐに聞こえる気持ちよさそうな寝息。



(無防備すぎでしょ…)
(寝れない…)