11 放課後の時間



私を怖がらせた責任として急遽 私の家にお泊りすることになったカルマ君。

そういえば中学生の時って外で遊ぶことが多くて家に招いたり招かれたりして遊ぶことってあんまり無かったなぁとかそんな事をぼんやりと思い出す。今の中学生はどうなんだろうか。ゲームとかして遊ぶなら家の中?それとも椚ヶ丘中学校の子たちはそもそも基本的に遊んだりはしないのかなとか考える。

家までは来週に迫った修学旅行の話しや殺せんせーの暗殺計画など他愛のない会話で盛り上がる。一人だと長く感じる道のりも誰かと帰るとあっという間に家についてしまった。


「ここが私の家です」


中学生には高級なマンションを示し、フロント…そして、部屋のある10階へ。



◇◇◇



「完全に一人暮らしって感じの部屋だね」


広すぎる1Rの部屋(15帖)を見渡して言ったカルマ君。痛いところを突かれる前に話を逸らさなきゃとやや焦りながら話題を変える。


「まぁね、で…晩ご飯だけどあるもので適当に作ちゃっていい?」

「ん、ありがとう」


了解を頂いたので、適当に作るねっと夕飯を作ることに。冷蔵庫を確認して決める。本日のメニューは≪豚肉の大葉巻・サラダ・レタススープ≫に決定。


≪豚肉の大葉巻≫
大葉と豚肉を巻く巻き終わったら少し塩コショウで下味をつけておく。それに片栗粉をまぶしカリッと焼きあげる。続けてめんつゆと醤油、酒などで簡単に作ったあんで絡めて完成。

≪サラダ≫
レタス千切る。きゅうりを斜め切り(名前知らない)塩でもむ。トマトを少しだけ添えるために切る。盛り付け。完成。

≪レタススープ≫
レタスが余りました。鶏ガラで味を調えレタスをさっと茹でる。完成。お好みで卵や春雨などを入れてもおいしいかも。


上の料理が出来上がる頃にはご飯も炊きあがる。久しぶりの誰かとの食事だからもう少し手の込んだものを作りたかった気持ちもあるけれど明日は学校だしこんなものだと思う。


「いい匂いだねって…手際いね」

「ありがとう」


たぶん年相応であると思うけれど確かに中学生にしては手際とかいいになるんだろうと思う。お茶碗は2つないので味噌汁のお椀で代用した。初めてのお客様に食卓は賑やかだが食器のバラバラ感には少し笑えてしまう。…また、食器くらい買おうかな。


「「いただきます」」

「! うま!」

「へへへ」

「なまえちゃん、いいお嫁さんになるね」

「え!!」



◇◇◇



晩ご飯も食べ終わり私は片付け。それに、なんとカルマ君が片づけを手伝ってくれました。

それからは、2人で(カルマ君に教えてもらいながら)宿題を済ませて、テレビを見ている。CMになり夏の特番の心霊特集の番宣をしている。


「!」

「あー、折角忘れかけてたのにね」


すると、慰めてくれているのかカルマ君が私の頭を優しくポンポンと撫でてくれる。私は少し恥ずかしくて下を向き隠すようにしょんぼりと頷き“怖い話を忘れていた”の肯定の意を表す。


「そーいえばなまえちゃんは他に苦手なものとか嫌いなものないの?」

「えーカルマ君に教えるとロクなことにならない気がするんだけど、」

「酷いなーそんなことないって」


あなたのその素敵な笑顔が一番怖いんですが、
なんて、言える訳もなく。言っても大丈夫そうなもの選んでみることに。カルマ君に対しては慎重すぎてそんなことはない。


「そうだなーこれといって苦手なものは怖いものでしょ得体のしれないもの、雷、地震」

「なにそれ自然相手ばっかじゃん」

「自然には勝てないからね、怖いよ」


なんて、意味深なことを言って時計を見るともう10時を指していた。そろそろお風呂に入って寝る準備しないと。



◇◇◇



「「…」」


1Rなので当然一緒の部屋に寝ることになる。しかも、布団がないのでクッションやバスタオルなどをひきしめた簡易すぎる布団。


「カルマ君ベッド使って、私下で寝るし」

「は?」


カルマ君が私を怖がらせたとはいえ私が無理やりに泊まってもらったのに床で寝させるなんて出来ない。


「何言ってんの?俺が床で寝る、なまえちゃんはベッドね」


すると、すぐに床の布団もどきに入るカルマ君。


「…ありがと」


返事は帰ってこなかったけど真っ赤な耳を見て満足する。


「電気消すね。おやすみ」

「…おやすみ」



今日も疲れたな

中学生の体になってから入眠が早くなった

カルマ君の「おやすみ」は夢の中で聞いていた