うたかたの夢に 01 深夜。珍しく任務の無いナルトが眠りについている。私はまだ決めかねていた。向こうの世界とこっちの世界。もう時間がないっていうのに決まらないのはたぶん、私の意思の弱さ。出会えたことでさえ奇跡なのに一体何を求めているのやら…。自傷するかのように笑えば少しはどちらかを諦められるだろうか?“諦めるな”って、漫画の中…表のナルトが言ってたっけ。でもね、これはどっちかを諦めなきゃいけないみたいなの。 「…ナルト」 静かな静寂に融けていく私の声。 返事のないナルトに私は安堵しナルトの傍に腰かける。 「ナルト…。私がナルトに出逢えたのは本当に奇跡でさでも、奇跡って儚く消えそうでさまるで泡沫(うたかた)みたいだよね。ナルト。私ナルトに出逢って変わったんだよ。ううん。本当は一方的に知ってた時からだけど、本当のナルトを知ってナルトの痛みを知って擦れてるしさ捻くれてるけど…でも、ナルトはナルトで……そんな、ナルトに救われた」 遠くでフクロウが鳴いている。 「ナルト……大好き、愛してるよ」 私は決めた。勝手に相談して勝手に決めたの。 (…なまえ?) back |