色あせた世界を照らす


変化の術ってずるい。だって、どんなに大けがしても無かったかのように見せられるんだから。それに気づいたのは“仕草”でやっと気づいた。

いつも通りのナルトが目の前で牛乳を飲むために立ち上がり冷蔵庫に向かって歩く。違和感はナルトの歩き方。右、左と振り出すリズムが可笑しかった。びっこを引くまではいかないけど、捻挫をしたときに歩き方が可笑しくなる。そんな感じ。


「ナルト、」

「あ?」

「どっか痛いの?」

「は?なんで、」

「…なんか変」

「……変って何が、」

「……」


何?今の妙な間は。私はナルトの「おい」って言葉を無視してナルトに近づく。隅々までナルトを見るけど一見怪我とかしている様子はない。私の気のせいかな?って思うけど念のためぺたぺたとナルトを触ってみる。すると、


「っ、」

「!」


一瞬だけどナルトの身体が跳ねた。でも、その場所には怪我をした様子はない。まさか、


「ナルト、変化してる?」

「……」

「隠しても駄目よ。ナルトのこといつだって見ているんだからね!」


すると、観念したかのようにボフンと煙に包まれるナルト。そこには包帯をあちこちに巻いたナルトがいた。私は一瞬息を呑むが深呼吸一つして落ち着かせる。こうやってナルトが私に隠している理由は私にあるから。
以前返り血とはいえ血まみれのナルトを見てしまった時の私の態度に問題があったと思う。少し鼻の良い私が気づかないように任務後は血の臭いを粗方落として帰宅しているのも知っている。


「痛い?」

「見た目ほどじゃねーよ」


ごめんなさい。私はナルトの包帯にそっと触れる。消毒の臭いもしないことから私に気を使って手当も十分にしてなかったと思う。


「私、血とか怖い」

「…」

「でも、それ以上にナルトが傷ついて手当もろくにしていないことがもっと怖い」

「…なまえ」

「確かに、変化の術で私は誤魔化されるけどナルトのことはちゃんと見ているつもり。こんな怪我ちゃんと手当しないといけないことくらい私にだってわかる」

「ほっとけよ、九尾のチャクラですぐ治る」

「!……馬鹿!私が…嫌なんだもん!!!」


(人が傷つくことはとても辛いことなのに、)


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