知ってほしい温もりを


早朝。日の出より早い起床のナルト。ナルトは毎朝たっぷりと修行して遅めにアカデミーに向かう。理由を聞くと「ドベだから」とのこと。ドベはドベなりに大変らしい。それはシカマルも同様の様子で二人は遅刻の常習犯らしい。
そして、夜は暗部の任務。生活リズムのバラバラなナルトがまともに食事を摂っているところをまだ見たことがなかった。私が作って食卓に並べていても手つかずか流しに捨てられるのである。初めこそ怒った私だけど段々とナルトに食事を摂らせようと維持になってきた。


◇◇◇


栄養のあるものを摂ってもらいたい。お世辞にも料理は上手とはいかないけど栄養のバランスはいつも考えているし本も購入して頑張っている。最近は色合いにだって気を使っている。仲良くなった八百屋のおっちゃんにも旬の野菜やその野菜の調理方法を聞いて勉強だってした。完璧。


「よし!今日こそは食べてもらうもんね」


◇◇◇


里の明かりも疎らになる夜更け。いつもなら私はナルトより先に寝ているけど今日こそは食事をナルトに摂ってもらうため頑張って起きていた。


「ん、まだ、起きてたのか」

「おかえりなさい」


ゆらりと帰ったナルトは暗部の装束に身を纏っている。鼻につく鉄の臭いに眉を顰めるけどナルトをしっかりと見て「おかえりなさい」をいう。
ナルトは少し目を見開き「あぁ」とぶっきら棒に返事しそのままシャワーを浴びにいく。
いつも寝ているから知ることもなかったナルトの姿に心が痛む。まだたった12才のナルト。


「で、それを食わすために起きてたのか?」


「うん、」シャワーを浴びたのかラフな格好に着替えたナルトが洗面所から姿をだした。そのまま席につくかと思ったナルト。


「食わねーよ。そんな何が入っているかも知れねーもん」


ナルトは食事を摂らない。…摂れないんだ。入っているって毒ってこと?


「鼻は利いても無臭のもんもある。九尾のお蔭で死にはしねーが死ぬ思いはするもんでな。つーことで、食わねー」


そのまま皿を下げようとするナルトの腕を掴んだのは反射に近かった。驚くナルトを見やって、


「分かった。これならどう?」


目の前でナルトの皿の料理を一品ずつ食べる。毒はないって。ただ、食べてもらいたいだけだって。


「あ、」

「…絶品ってわけじゃないけど、栄養とか考えてるから」

「…なんで」

「別に」


呆れ顔のナルトがお箸に手を伸ばした。私は望んでいた瞬間にドキドキしながらナルトを見つめていた。


「54点…」

「え」

「評価」

「なにその微妙な点数」

「微妙な味ってこと」


(う〜絶対美味しいって言わせちゃる!)
(はいはい。期待せずに待ってるぜ)
(!…うん!)


back