亀の甲より年よりの功


「なまえか」

「はい、えっと…」

「何しておる茶でも飲むか?」


本当に穏やかな三代目はいつも私を招き入れてくれる。怪しい私のことも「木の葉に住むものは皆家族じゃ」と頭を撫でてくれた。居心地よくてナルトがアカデミーでいない昼間はよくここにお邪魔してたりする。


「なまえよ里での暮らしはどうじゃ?」

「はい、だいぶ慣れました」

「やれやれ、ナルトのようにじいちゃんと呼んではくれんのか?あと、敬語もいらんよ」

「で、でも」

「ほれほれ」


本当に三代目は里の父親みたい。私は今まで生きてきてこんなに人と密接に関わったことがなかったから最初は戸惑いもあったけどこれは三代目の本心であると知るとくすぐったくもあったけど嬉しかった。受け入れられたんだって、


「じ、じいちゃん」

「なんじゃ、なまえ」

「な、なんでもないもん!」


恥ずかしくなって急いでお茶を飲む。じいちゃんと言えば嬉しそうに笑って私を見ていた。その笑顔につられて私も笑顔になる。


「じいちゃん。私ここに来れてよかった。最初は本当は凄く不安だったの」

「…」


じいちゃんは髭を弄る手を止め静かに私の話に耳を傾けてくれる。


「私はこの世界のことを少しだけ知っている。ここではそんな変で怪しい奴だけど私の世界では普通に生きてきた。私の世界の普通っていうのはね。忍びもいない平和だけど薄い世界なの。平和なのに普通の中にある当り前な幸せが分からなくなっちゃってる。私の家族もそう昔は仲のよかったのに年々覚めて最近は会話もほとんどなくて笑うこともなくなちゃった。友達もいるけど表面的で周りは傍観ばかり。だけど、」

「なまえ」

「こっちの世界はみんな必死に生きている」

「…そう感じるのはなまえが必死に生きている証拠じゃよ」

「じいちゃん」

「そうじゃな、普通の中の当り前の幸せ…それはこの里にもいえることじゃ」


お茶を飲み今度はじいちゃんが話し出した。でも、じいちゃんの言いたいことは何となく察しがつく。


「もう12年になる」

「九尾事件」

「そうじゃ、情けないことに儂は四代目を守ることが出来ずナルトも守り切れないばかりか苦しめてばかりじゃ」


「じいちゃん、」

「湿っぽい話をしてしまったな、すまんの」

「ナルトはナルトだよ」

「!そうじゃな」

「それに、」


(ナルトは強い…心が)


back