憧れの世界 02


「ん、……ここ?」


眩しくて目が覚めた。知らない天井に壁、汚い床にだんだんと意識が覚醒する。


「そっか、私」


それから部屋を見渡すがナルトの姿はなかった。昨晩ナルトが使用したはずの毛布は抜け殻。一つ伸びをして慎重に床に足をつく。さて、どうやって歩こうか。床に足をつける道順を確認して向かうキッチン。案の定キッチンはカップ麺の殻の山。


「ふふ」


原作通りすぎて笑っちゃう。でも、ナルトの栄養状態が不安になる。どんなに強くたって成長期の身体にカップ麺だけではだめだと思う。一応、冷蔵庫の中を確認するけど牛乳が2本入っているだけ。
流しの下から見つけたゴミ袋に取り敢えずカップ麺の殻を入れていく。本や書類関係はよく分からないので纏めて積み上げる。少しづつ床が見えるようになって、手を止める。


「今ってどこだろう」


漫画の内容を思い出しながら考える。昨日のオリジナルのナルトは少年で額宛はしてなかった。そこから予想して考えられることは、


「原作の前の世界…」

「原作の前っていうのは何だ?」

「ナ、ナルト!」


声と共に身体が傾き喉には冷たい感触。瞬身だと思う突然現れ私の上に馬乗りになっているナルト。首の冷たい感触はたぶん、クナイ。


「泣いてんのか?命乞いか?悪いが俺には通用しねーよ?」

「違う」

「?」


本当はめちゃめちゃ怖いだけど、私の立場くらいわかっている。本物の殺気を感じて息をするのも苦しいけど涙が出るのは違う理由。


「私は確かにナルト達にとって怪しい存在だと思う!でも、」

「あぁ、」

「私はここにいるんだもん!」

「、」


なんで、漫画の世界と目の前のナルトを比べていたんだろう。ナルトはナルトなのに、生きているのに、


(そう、成るようにしか世界は成らない)


back