子どもは未来の宝だから
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「沖田さん…私たちとんでもない世界へ迷い込んでしまったみたいです」
「……」
「ちょ!!沖田さんしっかりしてください!!」
◇◇◇
「この度は誠に勇大がお世話になり、ありがとうございました。なんとお礼を申せばよいか…この金塊で足りますかな?」
「いやいやいやいや!!!そんなお礼なんて、私たち何も…」
「なんと謙虚な!しかし、恩人様に何も礼をしないとなると…一族の恥」
勇大の祖父であるというふくよかな初老の男性は立派な顎鬚を撫でながら困ったというような表情をしている。隣の沖田さんは「芋侍は高級に弱いんでィ」と使い物にならない。
「じいちゃん。俺…母様と父様に会いに行こうとしたんだ」
「なんと!!!」
「…勇大君のご両親は勇大君になかなか会えないと聞きました。子どもに会えないとはどういうことなんですか?…他人が口を挟みすみません。」
「いえ、恩人ゆえ話しましょう。この子の親、私の息子は天人相手に貿易を行い宇宙中を旅しています。其れゆえ、地球に帰ってこれるのは3年に一度。この子の6歳の誕生日である昨年に帰り、次は2年後の予定なのです。」
「…お忙しいのですね」
「そうなのです。その間私が親代わりとなり寂しい思いはさせぬように甘やかしてしまいました。しかし、親のいない寂しさなど初めから埋められるはずなどなかったのに……お恥ずかしい。しかし、私はこの子…勇大が笑って過ごせるように努力するしかないのです」
「馬鹿みてー」
「勇大君!」
「そうでさァ」
「沖田さん!」
「勇大!てめーも男なら分かってんだろ?」
「ふんっ!総悟に言われなくても分かってらー。じいちゃん。悪かったよ。俺、じいちゃんのこと好きだぜ。確かに母様と父様に会えないのは寂しいけど、俺もう大丈夫だ!
じいちゃんがいるから!!!」
「勇大!!」
◇◇◇
「じゃあな!ありがとーな!なまえ!総悟!」
「本当にありがとうございました」
「なまえと総悟、母様と父様みたいで嬉しかったぜ!!!」
((…みょうじが嫁/…沖田さんが旦那さん))
((ないな/ないない))
((え?))