いろはにほへと ちりぬるを
入隊篇 02

「と言うことなんだトシ、総悟」


なまえが真選組への配属が決まった翌日、幹部3名は局長室で会議を行っていた。


「んなの無理に決まってんだろ?近藤さんよぉ…今まで男所帯でやってきたんだ。女中だって既婚の者や中年女性を雇ったり男が現抜かさねーよう環境を作ってきたんだ」


肺に染み渡らした煙草を一吹きしながら言葉を吐き出す土方。


「配属はとっつぁんがもう決めちまったんだ」

「無理だって言ってんだろ?今からでも遅くねー断ってくれ、近藤さん」

「だから、土方さんの考えは古くていけねーや」


土方の隣にいた沖田が漸くアイマスクを外し会議に参加する。


「弱い奴ならいざ知らず、強いってんなら真選組(うち)には必要なはずでさァ」


そう言うやいなや立ち上がる沖田。口元は弧を描き至極楽しそうである。


「待て、総悟。どこへ行く」

「道場でさァ、お嬢さんのお手並み拝見といきまさァ」


部屋から出ていく沖田。沖田といえば刀の腕前は真選組随一で、局長である近藤勲や土方を上回る。それだけではない、沖田はかなり強烈なサディスティックであり、サドだけでは説明できないエキセントリックな性格の持ち主でもある。そのドSさから土方に「サディスティック星から来た王子」と称されるほどである。
そんな沖田を仮にも上司から“泣かせるな”と忠告を受けている近藤は土方と顔を青くさせ急いで沖田の方へ向かった。


(どーしよ!トシ!!)
(慌てんな近藤さん、これで総悟の奴が問題を起こせばその娘さんもこんなとこに来るなんてこと諦めるんじゃねーか?)
((……。))

その問題が問題である。その問題を起こすのが沖田総悟だからである。

(総悟ー!)

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あさきゆめみし ゑひもせすん