葛藤




「ただいま〜」


分かっている。もう姉上はいなくて俺に 「おかえり」を言ってくれないことなんか。電気の点いてない誰もいない家に帰ってくると嫌でももう姉上がいないと思い知らされる。


「俺を理解してくれてたのは…姉上だけで…これからもずっと姉上だけでさァ …!」


なのに…転校してきて少ししか会ってない のにあいつは……

ピンポーン


「!…誰でさァ……こんな時間に」


時計を見ればいつの間にか時間は夜の八時 を回っていた。

ガチャ


「…なんの用ですか?って……土方コノヤロー!」

誰かと思えば、土方コノヤローですかィ。
土方コノヤローは俺から姉上をとった男。 先輩だかなんだか知らねーけど気に食わ ねェヤローでィ。


「用って訳じゃねーが、最近のテメーがあ んまりガキだからな…ちょっと説教だ」

「は!そんなのいらねー!」

「…オメーが拗ねよーがどうなろーが俺に は関係ねーが…そんなオメーの姿を見てテ メーの姉貴は喜ぶのか?」

「………」

「ま、よく考えろよ?んで、最近テメーが 八つ当たりしてる娘に誤っておけよ?…… じゃーな」


……言っていることは分かる。 なまえにはこの数日間ひでーことをやってしまっている。でも、あいつは何も言わず俺を 黙ってジッと見るだけで……


「くそっ!…やってらんねー…」


俺は一体どうしてーんだ?何であいつの顔 が頭に浮かぶんでィ…?何であいつはあん な目で俺を見るんでィ…?

答えは出ないまま夜は更けてゆく……


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