不意討ちをくらってしまいました




「なまえーなまえーわりぃんですが次の授業、教科書見せてほしいんでさァ」


目の前で手をあわせ大げさに頼み込む総悟。教科書くらい見せてあげるよ。それが総悟ならなおさら。


「いいよー総悟と席くっ付けられるし♪」

「そうですねィ♪」


次の授業は数学の授業。数学担当のヅラ…じゃない桂先生がチャイムと同時に教室に入ってきた。


「なんだぁ?お前たち机なんて引っ付けていかんだろ!」

「桂ー教科書忘れたんでィ!」

「なぁにぃぃ!で、忘れたお前はなんでそんなデカい態度なんだぁ!!」

「(た確かに、)ヅラ…じゃなかった桂先生、私たちに構わず授業どうぞ!」

「……お前たち!!…まぁ、いい授業始めるぞー」


溜め息一つヅラ先生は教科書を捲り黒板に問題を写していく。長々しい数式にうんざりしながら横を見ると…


「寝てるし、」


おやすみ三秒の総悟がいた。さらさらで優しい色の総悟の髪をそーっと撫でる。私の指の間をするすると抜けていく細い髪は本当に羨ましい。



「……、…」

「ん?」


寝言?


「なまえ…好きでィ……」

「っ///」



(不意討ちをくらってしまいました)




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