うつしうつされ
今日も父さんは任務。母さんは火影様に薬を届けて買い物をしてくると言っていたのが数十分前。シカマルとのお留守番にも慣れてきた。シカマルは世間一般の幼児より大人しいと思う。この間遊びに来た父さんのお友達のイノイチさんとチョウザさんのところのいのちゃんとチョウジくんはもっとばたばたしていたから。いや、あれが年相応っていうものかもしれない。シカマルってば、どこか子どもらしからぬところがあるから…にしても、今日は特に大人しいかも。
「シカマル?」
「……」
黙々と積み木で遊ぶシカマル。座り慣れていない身体ではあるけれどその身体はよく見ればふらふらしているし、積み木はしっかり握れていない。もしかして、とシカマルの額に母さんを真似て触れてみると私の額よりもかなり熱いシカマル。
「熱!…っと、寝かせて薬飲ませなきゃ!!!」
慌ててシカマルを抱え上げて布団に寝かせる。いつものシカマル以上に怠そうでしんどそうな表情にもっと早く気づいてあげれたら…って、いつも怠そうにしているから分かりにくかったんだ。
一先ず、氷枕と冷たい水で絞った手拭いをシカマルの額にのせて布団をかぶせる。火照った赤い顔は冷たい手拭いが気持ちいいのか幾分落ち着いた表情になる。
「さて、次は」
落ち着いたシカマルを確認して私は父さんを思い出しながら薬を調合していく。幼児は通常の三分の一の材料で更に鹿の角を小さじ1加え通常より念入りにすり潰す。粉末状になったそれを芋湯で溶かしていく。だまが無くなったら完成。
父さんが言うにはこれには解熱沈静作用と睡眠の効果があるらしく殆どの症状に効くらしい。効能としては合っている。再度、確認してシカマルに飲ませる。
◇◇◇
「ただいまー……?」
返事のない我が家に首を傾げる。鹿乃の“おかえり”もシカマルの声も聞こえない家に2人とも寝ているのかと思い2人のいるであろう部屋に向かうと布団の中で眠るシカマルとその傍で頬を赤くした鹿乃。
「鹿乃!」
初めこそ2人遊び疲れて寝ているだけかと思えば触れた鹿乃の身体は熱く、よく見ればシカマルには氷枕もしていた。シカマルの方は熱もなく熟睡している。
「か、母さん…?」
「起きた?もう!あんたって子は吃驚させるんじゃないよ!!シカマルよりもあんたの方が…!父ちゃん、」
「鹿乃ちゃん、よくやったな」
「…えへへ、」
シカクはさっき、調合室に行ったときに子供用に鹿乃が調合したあとを見つけた。使用した薬剤を照らし合わせると寸分の狂いもなく調合出来ていたことに驚き感心した。子どもってもんは親が思っているよりも成長しているもんだと。
(にしても、5歳の娘が親の調合見ただけでねー)
(まぁ、鹿乃ちゃんも必死だったんだろ)
(末恐ろしい子だよ、まったく)
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