小さくっても男
掴まり立ちを始めたシカマルからますます目が離せないようになっていた。奈良家は純和風の日本家屋。縁側は特に気を付けるべきポイントである。いつもは縁側に出ないように障子をしているが今は私がいるため開けられている。私もまだ幼い部類に入るとは思うのだけれど…と、我が両親ながら驚かされる。お姉ちゃん見ておいてねって言われるのは悪い気はしないけれど、ぼんやり空を眺めながら母さんの言葉を思い出す。
気が付けば縁側で座り蝶と遊ぶシカマルが視界から消えるところだった。私は考えるよりも先に身体が動いていた。
ドガッ
「ぅ、」
「うわーん、あーん!!」
寸でのところで抱きしめたシカマルは泣きわめく。高さがあってよかった落下までの距離があったお陰でシカマルが地面に着く前に助けられた。ズキズキと痛む身体を無視してシカマルをくまなく調べる。泣いている以外は特に怪我もない様子で安心する。
安心したら急にぼんやりしだした視界にそういえば背中打ったところめっちゃ痛い。
私の意識はそこで途切れてしまった。
◇◇◇
「ん、…」
「目覚めたか?背中の打ち身が酷かったからな、薬塗っておいたからもう少し寝とけ」
「と、とうさん?」
起きたて独特のぼんやりする思考をフルに動かし思い出す。そうか私シカマル守るのに縁側から落ちて背中打っていたのか。どうりで息出来なかったわけだ。
「吃驚したぜ。帰ったらシカマルは鹿乃ちゃんの隣で泣きわめいてるわ鹿乃ちゃんは意識ないわ。父ちゃん寿命が縮まった思いだよ、まったく。シカマルを守ったんだろ?ありがとうな、お姉ちゃん」
「…!!シカ、シカマルは?!!っいてて、」
あれからシカマルはどうしたんだろうと思うといてもたってもいられなくなり起き上がるが背中にズキリと痛みが走り息が詰まる。シカマルは怪我していないのは確認したけれどその後自分は意識を失ってしまったため面倒を見れなかったのだ。
「大丈夫だよ、あいつも男だ。お姉ちゃんを助けたかったんだろうよ」
父さんが言うには泣くだけでなく庭に生えている雑草を私にすり込もうとしていたらしい。父さんや私が薬草を使った処置をしているところを真似たのだろうか。もちろん雑草には打ち身に効く効果は無いけれど、
「シカマルのお陰で早く治りそーだな」
「うん!」
(シカマルを助けたのは偉いが自分が怪我しちまったらダメだろ!)
(…だって)
(ったく、頭でも打ってたらどーしたんだ)
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