「この前な、ナオと遊園地行ったんだ」

「へー」

「それでな、お化け屋敷入ったらナオのやつ。すっげー怖がってて、俺の腕にしがみついてきたんだ」

「ふーん」

「おまえ聞いてないだろ?」

「うん聞いてないよ」


聞いてるわけないじゃん、てか聞きたいわけないじゃん。好きな人のそんな話。太郎のやつ本当に久しぶりに私の家に遊びきたかと思えば、座った途端ナオナオナオナオって。うるさいよ、聞きたくないよ。聞きたくないけど嫌でも耳には入ってくるから、結果的には太郎の話聞いてるよ。聞きたくないけど


「うざ」

「は!?なんだよ唐突に!?」

「あ、ごめん まちがえた」

「間違えるかッッ!!」


冗談気に怒る太郎だけど、私は冗談や軽い感じで接せれない。ごめん、ともう一度真面目な顔して謝罪すれば、そっそんな謝んなくっていーよ怒ってねーし!とそっぽを向いた


「ねえ太郎、ナオのどこが好きなの?」

「なんだろなー 可愛いっていうか、自分でもよくわからねえ」

「ふーん」

「なんだよ、聞いてないとか言いながら実は気になってるんじゃねえか」

「当たり前だろ、一応ダチなんだし」

「おー、お前誤解されやすいけど本当は良い奴だよな」

「良い奴…ねえ」

「なーんだよ辛気臭い顔しやがって!!」

「べつにぃ」


太郎にとっての私の立ち位置はただの女友達。良く言っても気心知れた親友、といったところか。ナオのことも知ってる。中学高校と同じだし、今は二人でマネージャーやってるし。まぁ太郎と知り合ったのはナオ繋がりじゃなくて、たまたま同じミニバスにたまたま同じ時期に入ったことが出会いのきっかけ。太郎ってアホだけどバスケしてるときかっこいいし、なんかほっとけないってゆーか、しかも一緒にいると嫌でも笑かしてくれるから悩み事とか馬鹿らしくなっちゃうんだ(本人は笑かしてあげようとか思ってないだろうけどさ)


「お前、俺に隠し事してるだろ?」

「なによ急に」

「はぐらかしたって無駄だぞ?分かるんだよ、お前のことはな」

「うるせーよ、しねクソおかっぱ野郎」

「ばッッ!!?」


お前のことが分かる?笑わせないでほしい。何を分かった気でいるのやら、何をそんな得意気な顔しているのやら。太郎、あんたはなーーーんにも分かってないんだよ馬鹿だね。私のことを分かっているのであれば、ナオと遊園地に行った話などしないはず。私の想いを知っているのであれば、迷惑だと言って冷たく接するだろう。それ以前に私の家に遊びにきたりしないだろう

そうだよ、太郎。あんたは私のことを何一つわかっちゃいない



「じゃあ、クイズ」

「クイズ?ヘキサゴン?」

「私は太郎のことをどう思っているでしょうか?」

「そんなの決まってんだろ、かっこいい!」

「ぶー」

「…じゃあ、イケメン?」

「ぶっぶー」

「なんだ〜?それ以外なにがあんだよ」

「もう太郎だめだわ、話にならない」

「あー!わかったぞ!」

「………」

「好き!とか?……んなわけねーよなーブハハ」

「あたり」

「え?」

「大当たり、大正解、ご名答」

「………」

「………」

「……なんか言ってくれよ」

「しね」

「告白した直後に死ねって言うやつ初めて見たわ、他にあんだろ」

「太郎こそ、何か言ってよ」

「………」

「………」

「…バーカ」

「あんただって、人のこと言えないじゃんか」

「うるせー、こうゆうの慣れてないんだよ」

「………」

「なあ」

「なんだよ」

「…ナオと遊園地行ったって話、実は全部ウソなんだ」

「………」

「………」

「だからなに、太郎がナオのことを好きなのには変わりないんでしょ」

「……ああ」

「下手に優しくすんなよな」



もしも全てが嘘だったならば、
君の想いも何もかも全てが嘘だったならば、

mae tsugi