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「豹起きなよ」
「…うーん」
「今起きないと遅れちゃうよー」
「…うーん、あと…ごふん」

毎度のことなので色々と割愛。


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「すんませえん!寝坊しましたあ!」

外でアップしていたナマエたちを見つけて、全員に聞こえるくらいデカイ声で言った。
いつもだったら「遅えぞ不破!」とかって一言二言あるはずなのに、今回は「良かった、待ってたよ不破くん」なんて、優しさ満ち溢れる返答が聞こえた。

「…おっさん誰?」

ヒゲづらに帽子をかぶったおっさんが右手を差し出してきたので、自然と俺も右手を出した。
結果、男と男の熱い握手をすることになる。

「あたらしい…監督?」
「そう言いたいところだけど、ただの記者だよ。 会って早々あれなんだけど、君のことを取材したいんだ」
「取材?なして?取材って何すんだべさ?」
「君がプレーしている姿を撮ったりしたいんだが、いいかい?あとは色々と質問するから、それに答えてもらえれば…」
「ん〜、よくわからんけども!じゃ、お願いしまーすっ」

と言っても、俺は普通に試合出てただけ。
それをおっさんがパシャパシャ写真撮ってて、終わったときには「いや〜良かったよ、速くてシャッターチャンス逃さないように必死だったよ〜」と言われた。

取材といわれて面倒くさそう、と思ったのが正直なところだ。
だってたまに眺めるだけのニュースじゃ、総理大臣や政治家が取材班に追われて、しかめっ面で「話すことは何もありません!」とかって怒ってっからさ!

「じゃあ、試合終わりで申し訳ないけど、少し時間をもらえるかい?次は質問に答えてほしいんだ」
「はいはーい」