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「また前みたいに戻れる?」

考えるより先に言葉が出ることってあまりないのに。
覚悟を決めたような表情をしてる豹は、恐る恐るといった感じで下げた頭を上げる。

「私は、豹と前みたいに、一緒にバスケしたり話したりしたいよ」

それだけじゃない。ゲームもしたい。一緒に学校まで行きたいし、一緒に帰りたい。
休みの日は昼寝だってしたいし、くだらないことで豹とゲラゲラ笑いたい。
私の毎日には、豹がいつだって必要なんだ。

「急に、冷たくされて、無視されて、やだったよ。お前のことなんか嫌いって…、」

そこまで言って泣きそうになった。鼻の奥がツンとして、泣くまいと黙るしかなくなる。

「ごめん」

手で口元を押さえた私を見て、豹は、一緒にいた中で一番申し訳なさそうに、また謝った。

「俺さ、やだったんだべや、お前とハセガワが仲良くしてんの。でもなんか上手く言えなくて、お前のこと避けてた」
「…うんっ」
「つい勢いでナマエのこと嫌いって言っちゃったけど、そんなこと一ミリも思ってない」
「うん…!」
「いっぱい傷つけてごめん。…俺のこと、嫌いになっちゃったかい?」
「なってない…なってないよ…っ、なるわけない、」

固まった心が溶けてく感覚がした。
豹は私の言葉を聞いて、安心したかのように肩の力を抜いた。
私はもう堪えきれなくて、わんわんと子供のように泣きじゃくる。
よかった、本当に嫌われてたわけじゃなかった。
しゃっくりが止まらない私を豹が控えめに抱きしめて、背中をさすってくれる。

「…落ち着いたかい?」
「うん」
「ごめんな」
「もう、謝らないで。私の方こそ、ごめんね」
「お前はなんも悪くないさね」

泣きやんだ私に、豹は頭をポンポンとして体を離す。
二人目が合って、ふっと笑い合った。

「ナマエの泣き顔、めっさ子供!」
「豹も泣きそうな顔してたよ!」
「え、してないしてない!」
「してた!」
「してないべや!」
「してた!」

こんな些細な言い合いができることすら嬉しくて、また滲んだ涙を今度は豹がぎこちなく拭いてくれた。

16.7.4