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はじめまして

零に初めて会ったのは、アカデミーの入学式だった。

「私、諏訪零」
「俺はシカマル」
「今日からよろしくね、シカマル」
「おう」

零は入学当初から少しだけ目立った。この里じゃ同い歳で忍の家系にいれば入学前からだいたいが顔見知りだ。一般家庭といえど、公園や商店街なんかで見掛けるから喋ったことはなくてもなんとなく知ってる。でも、俺たちのなかで零の存在を知っている奴は誰一人としていなかった。

色素が薄くまんまるな瞳が印象的なクラスメイト。同じく色素の薄い柔らかそうな髪は、アカデミー時代は不器用な零に甘えられて何度も結んであげたけれど、見た目以上に柔らかくて触り心地が良い。

あの頃はなんとも思わなかったが、今思えば子どもらしい幼い顔立ちに不釣り合いだろう、左手首から左手の小指にかけて白く映える刺青。花びらを散らしたようなそれは、白い肌に白をさした不思議なものだった。

一目見れば記憶に残る零のその容姿は、いったい今日この日までどこに隠れていたのだろうか。噂好きの女子だけでなく、男子まで話題にしたほどに目立っていた。

まあ、簡単に言えば「可愛い」そういうこと。



「諏訪の子がいるって本当なの」
「ほらあの子よ、白い刺青の」
「本当に諏訪かしら。あの一族は治癒力が異常でしょう」
「そうねぇ…刺青なんていれた側から消えてくはずよね…」

諏訪、掲示されたクラス名簿のその名前を、大人達がしきりに呟く。諏訪がなぜ木ノ葉に、あの一族は絶えたはず、髪や目の色を見たか?あの一族はすべて真白のはず……声を落としていても聞こえるもんは聞こえてくる。しっかり耳に入っていたらしい零は「大人って噂話が好きなの?」と顔を顰めていた。


その日の夜、入学式はどうだったと聞くオヤジになんとなく「諏訪零ってクラスメイト、大人が噂してすげぇめんどくさそうだった」と返せば、オヤジは言った。

「世の中にはいろいろあるんだよ。気にせず仲良くしてあげくれ」

複雑そうな父親の表情。まだまだ餓鬼だった俺にはその表情の言いたいことなんて、上手く読み取れるはずもなかった。

「言われなくても。アイツいい奴そうだったし。たぶんチョウジともすぐ仲良くなるぜ」


その言葉通り、入学式から数日で俺たちはすっかり打ち解けた。


それが、俺と零のはじまり。