《結》現在、桜の舞う頃


並木君は私を助けてくれたのだ。
「なんでもする」と言った、あの懇願は私のためのものだった。
すべては私のため、だったのに。
理解できなかった。受け入れることができなかった。
たった一度の拒絶で、彼はどれだけ傷ついたのだろう。
それでも、けっして私を責めなかった。
最後まで私を気遣ってくれた。

きっとあんなことが初めてじゃなかったんだろう。
並木君はあまりにも優しすぎた。
優しくて強くて弱い人だった。

彼と出会った頃と同じ、満開の桜を見ると思い出す。
私が終わらせてしまったのだ。
後悔は今も終わらない――。



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