■ 27話 下

「そんな理由で…」
「僕にとっては死活問題だったんだよ!巻き込んだ名前ちゃんには悪いと思ってるけど、僕は満足してる」

これで少しは仕事に打ち込める、と良い笑顔を浮かべる白澤様には悪いが、これは悪手だ。
主に私にとって。特に理由なく唐突に全裸になるなんて、ただの嫌がらせに近い。
それにせめて―――

「服はどうにかしておいてほしかったです」

ちょいと摘み上げたのはだぼだぼで今にも肩からずり落ちそうな白衣である。
人間に戻るときは悲しい事に全裸になると知っているのだから、せめて着替えの衣服ぐらい用意してくれていればよかったのに。
細かな気遣いの利く白澤様にしてはそのあたりの詰めが甘いな、と現実から逃避しかけの頭でぼんやり考えていると、目の前の白澤様がきょとんと小首を傾げた。

「服なら用意してあるよ、僕のお古だけど」

はい、と言いながらごそごそと取り出した袋に入っていたのは、男性用のあの白い普段着だ。
白澤様は確かに細身である。だがしかし、細みと言えどなかなかの長身の持ち主だ。185cm、それも男性用の衣服を私が着られるとは思い難い。
無理です、という視線を白澤様に送るが、彼はそんな視線を跳ねのけた上で、どうぞというなり目を瞑った。そしてそのまま顔を横に逸らしてしまう。見ていませんからどうぞ、という態度を表されてしまっては服を着ない訳にもいかない。
仕方なくだぼだぼの白衣が落ちないよう細心の注意を払いながらそれを持ち上げると、案の定上衣は明らかに腿あたりまであるし、下衣に至っては持ち上げても裾先が地面にひっついてるしている始末だ。
どう考えても下の服は着られない。着た所で意味が無い。
即座に着衣を却下したズボンをさっさと袋に仕舞いこむと、とりあえず着られそうな上衣だけを広げた。
そのまま前開きのそれを羽織れば、首元の開いた白衣では心許なかった首元がおおよそすっぽりと隠れる。裾の方の皺を伸ばすと、太ももの中ほどまですっぽりと隠れてしまった。ここまで長ければ下衣がなくてもどうにかなるだろう。
若干心許ないが四の五の言ってはいられない。それに今更だが、あの首元フルオープンの白衣に比べれば何倍も服としての役割を果たしている事に違いはないのだ。
ただせめてもうちょっと裾が長ければな、と腿の中ほどまでしかない裾をせっせと引っ張っていると、衣擦れの音が途切れたため着替えが終わったと判断したのだろう白澤様が、何時の間にやら視線をこちらに向けていた。
そしてそのままにっこりと深みのある笑みを浮かべるなり、うんうんと心底満足げに頷く。

「うんいいねぇ、じゃ名前ちゃん、じゃあ今日はそのまま仕事しよっか」
「え、これでですか!?」

だってそのための服だよ?と小首を傾げた白澤様に悪意は見当たらない、恐らく。
確かに仕事は山積みだし一刻も早く作業に着手すべきであろう。白澤様の言い分は間違ってない、至極全うだ。
ただし、役に立たないヒト型に変身している上に服装は白澤様のお古で足元が心許ない状態でなければ。
ちなみに一応下着は何故だか古着と一緒に畳まれていたものを着用してはいる。何故彼がそれを準備していたかは、考えないでおいた。
服装だとか色々と言いたいことはあったが何より、この姿では仕事ができませんよ、と告げると、白澤様は大丈夫だよ、と微笑んだ。

「小物を片づけるもよし、掃除をしてくれてもよし、十分仕事はできるよ」

それに、というと一息置いた白澤様は、私の姿を上から下までゆっくりと眺めると、ふふっと笑みを漏らした。

「僕としてはその格好した名前ちゃんがそこにいてくれるだけで、十分だからね」
「?」
「こーんなイイ格好した女の子がいるだけでやる気は段違いだよ」

いつもと違い何処となく色香の漂う顔を浮かべた白澤様の、細長いが男らしい指がするりと頬を滑った。慈しむ様なそれでいて愛でる様な手付きに背筋が震える。
ぞわりと粟立つ背筋。思わず足を一歩引くとにんまりとした白澤様の笑みが深まった。

「女の子がこんなにいいものだなんてね。いや、名前ちゃんだから、かな?」

そう言うなり白澤様が先ほどまで掴んでいた腕を引っ張った。思わぬ衝撃に足元をもたつかせる私をぐっと抱き込んだ白澤様は、ふふと喜びにあふれた声色で私の頭の上に顎を乗せる。
いまだかつてない密着度に身体を強張らせていると、これ好機とばかりに腹から腰にかけてぐるりと腕がまわってしまった。腹部を拘束されては動くことは難しい。

「あーずっとこのままでいたいなぁ、仕事したくない」

ふーと大きなため息をついた白澤様は、一時間くらいはこのままがいいな、と言い放った。
今現在私の体勢は、後ろから白澤様にがっちり抱き込まれているというとんでもないものだ。
この体勢は余所から見れば誤解を生みかねない、いやむしろ誤解しか生まない。もしタイミング悪く訪ねてきた白澤様の彼女やら愛人やらにでも見つかればどうなるか…修羅場は免れない。
これは不味いと脱出を試みようともぞもぞと身体を捻ってみるが、それに気付いた白澤様が、離さないとでもいうようにゆるりと巻きついていた腕をすっと腰元まで動かした。
そのままがっちりと腰を掴まれる。ゆるゆると腰を撫ぜられ、背筋を鈍い刺激が走った。

「逃げようとするなんて悪い子だねぇ」
「ひっ」

お仕置き、と吐息混じりに吐きだされた甘い声が項を擽った。生温かく吐きだされた息とともに、薄い唇が首の裏に寄せられる。そのまま唇はゆっくりと下に滑り落ちた。
折角留めた首元のボタンが外される。自分の衣服だからか、あまりに手慣れた手腕に制止を掛ける暇もなく、布地に守られていた首元が外気に触れた。
そのままするりと熱い唇が背中を這った瞬間、固まっていた頭がやっと仕事を始めた。
待ったちょっと待った。いかに色恋に明るくない私でもわかる、これは駄目な雰囲気ってやつだ。
このまま流されてはいけないと、冷や汗と背筋を駆けるぞわぞわとしたもどかしい感覚を必死で振り払いながら店内を見渡すが、そこにあるのは静寂ばかり。
静まり返る店内にいるのは私と白澤様、それにいつのまにか店の奥に引っ込んでしまった兎の先輩方が遠巻きにこちらを伺う姿だけだ。
それももはや耳がぴくぴくと動く姿が見えるだけで、正直言うとこちらに居ないも同然な程の距離が開いてしまっている。どうしてそちらに行ってしまったのですか皆さん。
悲しみに暮れ、動けぬ私に気を良くした白澤様は、さらに留められたボタンをもう一つぷちんと音を立てて外した。そして満足そうに笑みを深めると、首元に開いた手を添わせる。
ひぃ、と情けない声が漏れ出る。その様を実に楽しそうに横目で見やる白澤様と一瞬視線が合った、と同時に開いた隙間に指が差し込まれた。差し込まれた指は鎖骨辺りを数回弄ぶように行き来すると、少しずつ下方に下がり始める。
これはいよいよ不味い状況だ。しかも助け人になりそうな桃太郎先輩は配達中、帰宅にはまだまだ時間がかかりそうという状況である。
もうこの際彼女でも愛人でも誰でもいいから助けて、と声にならない叫びを胸中で上げるが、今は夕暮れ時。来店者を望む事もできない。
万事休すか、とぐったりと顔を下げながら背中を這う熱に絶望する。
このまま白澤様のお遊びに付き合って、薬局に居づらくなり退職か。兎の身で次の仕事なんてみつかるかな、難しいだろうな。
店主の悪癖さえなければ文句なしに良い職場だったのに、と名前が思考を彼方に飛ばしかけた、と同時に、ゴォンという轟音を立てて店の壁が崩壊した。

猛烈な破壊音とともに、もくもくと白い粉塵が巻きあがる。
流石の白澤もこの騒ぎの中で事を進めることはできず、うわ、と気の抜けた悲鳴を上げながら名前を抱えて粉塵から距離を取った。
白澤に抱えられたまま、自体が把握できず目を白黒させる名前の視界に飛び込んできたのは、猛烈な勢いで店の壁を貫通する黒い塊であった。
その塊は勢いを緩めぬまま店内の薬棚にまっすぐ突っ込むと、ドギャンという破壊音を立てながら薬棚をぶち壊す。勢いをなくしたそれに目をやると、鋭利な棘が目に入った。
磨かれたかのようにギラリと光る棘がいくつもついているそれは、例の鬼神が常に引っ提げてるアレに良く似ている。
それに極楽満月の壁を迷いなくぶち壊す人なんて心当たりが一人しか無い。

「セクハラにパワハラ、それに加えて納期の踏み倒しですか、仕事しろよ色ボケ神獣」

パラパラと肩にかかる破片を邪魔だと言わんばかりに手の甲で払いのけた鬼灯は、壁に開いた大穴から当たり前のように入店するなり眉間の皺をグッと深めた。
視線の先には、後生大事そうに女を抱える薬局の店主だ。しかも女の衣服は店主とお揃い、しかも首元がえらく開放的になっている。
クズが、とゴミでも見る目を送った鬼灯は、投擲した愛用の金棒を拾い上げるなり、迷いなくその切っ先を白澤の能天にたたき落とした。
思わぬ攻撃に身構えることすらできなかった白澤は、もろにその攻撃を頭で受け止めてしまう。
ゴン、ともブシャ、ともとれる痛々しい擬音が響くと同時に、噴出する赤い液体。唐突に頭を抉られた衝撃に、白澤の拘束の力が緩んだ。
これ好機と急いで名前が腕から抜け出るのと、白澤が脳天への攻撃により地に沈むのはほぼ同時であった。

「い゛っ……おっ、まえ何しに来たんだよ!」

額に流れる赤い液体を腕で拭いながら、白澤は未だダメージから回復しきらない頭をぐっと押さえた。とたんにぬるっとした生ぬるく嫌な感覚が触れる。
アイツ遠慮なくいきやがった。じゃないとこんなに頭に穴が開く訳ない。
唐突に暴力振るいやがって、と忌々しそうに悪態をつけば、自業自得って知ってますか、とどこ吹く風な返答が返ってきた。
これだからこいつは嫌いなんだ。それになんでいっつも良い所で邪魔するんだよ。
じっとりとねめつける様な視線を送る白澤に気付いた鬼灯はその視線を一瞥するなり、風呂敷から一枚の紙を持ち出した。

「お前納期踏み倒しただろ、ですから同意書にサイン貰いに来ました」
「同意書ぉ?何のだよ」

ぺらりと提示されるそれに心当たりなどない白澤は、訝しげに目を細めながらそれをじっと見つめる。その様子をハッと小馬鹿にしたように鼻で笑った鬼灯は、前の納期、とぼそりと呟いた。
実のところ前の納期の際も、白澤が女がらみでなんやかんやとあり、調合をすっかりきれいさっぱり忘れ去ってしまい、地獄へ納品するのが半月程遅れていたのだ。
半月待たされた鬼灯の逆鱗がいかほどのものであったか、言うまでもない。
その際に半ギレの鬼灯から半ば一方的に言い渡されたされた約束が一つあった。納期が遅れたら薬代を半額にする、という誓約だ。
基本的には律義な白澤だが、鬼灯が絡むとそれは瓦解する。
ないとは思うが、その約束を反故にされないように、この誓約を破った際には同意書を再度書いて貰うという取り決めがしてあったのだ。

「耄碌爺、期限を切ったら割引する約束でしょうが。拇印でいいです、指貸せ」

そういうなり未だ膝が立たない白澤の指を無理やり引っ掴んだ鬼灯は、どばどばと溢れ出る血液に親指を浸すと、書類の判の欄に指を付ける。その勢いは白澤の指を引きちぎらんばかりのものであった。

「いだだだ!お前僕の指千切るつもり?!しかも気持ち悪いから離せよ手!」

悲鳴を上げる白澤に目もくれず、拇印を再確認した鬼灯はいそいそとそれを胸元に仕舞い直す。
これで仕事は終わったとばかりに風呂敷を金棒に括り直せば、タイミングを見計らったかのように後方から息を切らせた桃太郎が現れた。

「鬼灯さん早いですよ…って店が!」
「すみません、セクハラ神獣がいたものですから、つい余分に力が入って」

店員を毒牙にかけるなんてとんでもないやつです、と言いながら鬼灯が指さした先には、白澤のお古、それも半分ほど脱げかけの服を纏った名前の姿。しかもなぜか人型。
恐怖からかそれとも別のアレからか、ほんのりと頬を赤く染めている彼女は傍から見れば、暴漢に襲われる寸前で助けられたそれだ。
場の状況を理解しきれていないのか、きょろきょろとしきりに辺りを見渡しながらも、じわじわと白澤から距離を取る態度から推し図るに、おおよそ店主が要らんことをしでかした事が伺える。
カチン、と桃太郎の脳内で離性のスイッチが入る。
この店主はまた要らんことをして。それに名前さんが人型になったら誰が薬草採取するんだよ、と薬局の今後を憂いた桃太郎は、先ほどと打って変わってげっそりとした表情のまま、半分程頭の傷が回復しつつある白澤に向き直った。

「名前さんがこの状態じゃ薬草採取に遅延が生じますけど、どうするんですか白澤様」

俺はもう知りません、と死んだ魚の目をした弟子の顔など気にした様子もなく、白澤はあっけらかんと言い放つ。

「えーどうにかなるよ、ホラ、桃タローくんが集めに行ってくれればいいし」
「過労死するわ、この脳内綿あめ上司!」

ぎゃいぎゃいと言い合いを繰り返す二人を一瞥した鬼灯は、未だ地面に座り込んだままの名前の腕をとった。
そしてそのまま立ち上がらせ、服に付いたほこりを払ってやれば、頭の中が大混乱していた名前の意識がようようこちらに帰ってくる。
きょろきょろと落ちつきなく周りを見渡した名前は、己の手を掴む鬼神を視界に入れて、ひえっと小さく悲鳴を上げた。

「ご、ごめんなさい鬼灯様ありがとうございます」
「いえ、床に転がしておくわけにはいきませんから…チッ、この時間に撫でられると思って遠慮したのに」
「…」

要らんことしやがって白豚が、という呪詛の様な呟きが聞こえたような気がするが気のせいだろう。
きっと聞き間違いだ、この時間からもふもふされる予定があったなんて。さっきの呟きを思考の隅に追いやる事にする。
しかし、なんで鬼灯様に引き上げられてるのかとか、店内がもはや世紀末状態だとか色々気になることだらけだけど、何よりとりあえずあの状況を打開出来て良かった。
もしもあのまま行っていたらと思うと背筋が震える。それに就職難民は嫌だ。
どうにかなってよかった、と息をつけば、修羅場を越えて気が抜けたのか片方の膝ががくりと折れた。
あ、これはこけるなと痛みに備えた瞬間、腰に大きな腕が回る。先ほどと少し違い、やや筋肉質な腕はそのまま腰付近に手を添えると、支えるようにぐいと私の身体を引っ張った。
慣性にしたがって、意図せぬまましな垂れかかってしまった黒い腕を見上げるとそこには、いつもの鉄仮面を崩さぬ鬼灯様がじっとこちらを見つめていた。

「気が抜けたのでしょう、足に力が入ってません」
「ああほんとに…すみません、重いでしょうに」
「あなた程度なら何とも。大王の方が圧倒的に重いですから」

大王に比べれば綿にも等しいです、なんて言い放つ鬼灯様。
比べる対象が違い過ぎる。
もし閻魔大王より重いです、なんて言われた日にはどうやって立ち直っていいのか分からない。
ひっそり大王より重かった場合を勝手にシュミレーションしていると、もうそろそろ目に余ったのか、ぎゃいぎゃいと言い合いを続ける師弟に向けて低い声が投げかけられた。

「白澤さん、一つ提案があります」
「なんだよ」

やや額に皺をよせながら振り向いた白澤様は、桃太郎先輩との口論を一時中断させると身体ごとこちらに向き直った。
そしてこちらの様子を伺った瞬間、まるで金魚草のように口をぱくぱくさせると、悲鳴にも似た声を上げる。

「その手を離せよ一本角、名前ちゃんが汚れる!」
「そっくりそのままあなたに返しますよ、その言葉」

いいから続けますよ、といいながら再度金棒を投げつけ、白澤様を物理的に黙らせた鬼灯様は、人差し指をビシッと一本立てながら目を細め、口を開いた。

「借りなしで地獄の薬草業者を派遣しましょう」
「…気持悪っ、なに考えてんの」

訝しげに顔を歪める白澤様の腹部には、鬼灯様の金棒がずっしりと乗っかっており身動きがとれないようだ。
忌々しそうにそれをぐいぐい押しのけてはいるが、一向に退く気配のないそれは一体どれほどの重みがあるのか。
薬局の壁をぶち抜くくらいの威力がでるシロモノなのだから、常識の範囲を越えた重量があってもおかしくはないのかもしれない。
金棒の重さに恐々とする私と、もう何も知らないと言わんばかりに達観した目を浮かべる桃太郎先輩を無視して話はどんどん続けられる。

「あなたの漢方には私も一目置いています。それが無くなれば地獄の薬棚に隙間ができることになるので困りますから」
「…それで?お前がタダでそんなに高待遇を持ちかけてくる訳ない」

何が要る?金丹?それとも他の妙薬?とじっとりと鬼灯様を睨みつける白澤様はすこぶる機嫌が悪そうだ。
そんな白澤様を満足げに見下ろした鬼灯様は、なんでもないように爆弾を一つ投下した。

「名前さんを借りていきます」
「はあっ?!」
「彼女がここにいても仕事にならないでしょう。ならば代わりに地獄で仕事をして頂く方が生産的というもの」

地獄には多種多様な仕事もありますし、なにより打って付の仕事が一つありますから、と言い放つ鬼灯様の顔はいつものそれだがどこか楽しそうだ。
一方の白澤様は、血で赤く染まった顔を真っ青に染めながら拳を握っている。

「ちょ、許さないからな!」
「残念ながら同意書に印を押してますからね。約束通り、一週間程度お借りしていきます」
「はああ!?それ割引の同意書だろ!」
「書類はちゃあんと確認してから印するものですよ、白澤さん」

特にこういった同意書はね、と言い放つ鬼灯の手に握られているそれには、以前作成していた同意書にさらに一つ文言が付けくわえられていた。
一.後学の為、従業員同士の派遣を行うこと。ただし、期間や時間の制約は設けない
つらりと達筆な文字で書かれたソレは以前にはなかったものだ。
お前何時の間に付けたした、と悪態をつく暇もなく、名前の腕を掴んだ鬼灯は、白澤を一瞥するなり口角をほんの少し吊り上げると、相変わらず詰めが甘いですねと言い残して姿を消した。
 

[ prev / next ]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -