▼バレンタイン2015@
瀞霊廷のバレンタインっていうのはいつも壮絶だ。現世で流行ってる文化を取り込んだだけで、こんなに反響があるとは・・・多分、流行らせた瀞霊廷通信を作ってる檜佐木先輩にも想像がつかなかったと思う。

壮絶たる所以は、大体は粒揃いの護廷十三隊を筆頭にした隊長格の皆さんの人気。それはそれはもう絶大で、その中でも特に後輩や仲間に慕われるタイプの人たちは毎年こんもり貰ってるような印象がある。それは、うちの隊長しかり、割と隊員との距離が近い副隊長たちしかり・・・個人名を言うならば、檜佐木先輩や恋次くんは凄い。隊舎で絵に描いたような『山積み』が見られるのはたぶんこのときくらいだろうと思うってくらい。

私の周りにいる人たちは、なんでこうモテる人ばっかりなんだろうか。一応用意したチョコレート(市販)を持って隊舎に向かい、山を見上げて改めて思う。
とりあえず、一番上に投げ込んどけばいいか。義理ってやつだし。ぽーい。


「おいなまえ!今なにやった!」

「あ、檜佐木先輩いたんですね。こんにちは」

「おうお疲れ・・・じゃねえだろ!今のさっきの、チョコだよな?」

「市販で義理ですけど、チョコですね」

「んだよ義理かよ・・・。いや、でも俺にとってはお前から貰ったものこそが大事なんだ」

「はあ」

「だから投げずに俺に直接渡せ!やり直しだ!」

「ええっ!」


檜佐木先輩は、腰に手を当てながらチョコレートの山をビシッと指差した。それを見上げながら、勘弁してくださいよとボヤく。面倒くさがった私も悪いけど、ここから探すとなると・・・また手間がかかるじゃないですか。重い足取りで山に近付き見上げる。そのとき、なぜか後ろに腕が引かれた。
振り返ればそこには、考え込んだ様子の檜佐木先輩が片手で私を捕らえ、もう片手は顎にやっていて。数秒の間。それから、檜佐木先輩はいいこと思い付いたとばかりに気色付いた顔をあげた。


「いや、探さないでいい。その代わり、俺のためにチョコを作ってくれ」

「はあ?何言ってるんですか先輩、そんな時間な」

「仕事終わりでいい。俺も手伝うし、それならいいだろ?」

「いやいやいや」

「十三番隊舎まで迎えに行く。俺のために作って、好きですって言いながら手渡してくれ」

「オプション酷いですね」


私の腕を掴んだ手はいつのまにか私の肩をガッチリと掴み、頬を染めながら嬉しそうに笑う檜佐木先輩を眉を潜めながら見つめる。その顔がいつまでもいつまでも幸せそうに綻んでるものだから、つい私も根負けして首を縦に振った。ただでさえそわそわしていた檜佐木先輩が、その瞬間「最高だ!」と言いながら私を抱き締める。面倒くささと結局押されたら勝てない自分の性格にため息をつくと、ぎゅうぎゅう抱きしめられるがままに何を作ろうかと頭を捻らせた。


150118
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