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三人の視線が私に集中する。

負けじと、私は後輩相手に手を出してる先輩を見据えた。
視界の端で、壁に押さえつけられている彼の様子をみる。
さっきから何を言われても顔色一つ変えなかった彼の顔に、焦りの色が見えた。



「その手を離してください。」



先輩の驚きの表情が、みるみるうちに怒りへと変わっていくが、気にしない。



「暴力を……手を出した時点であなたの負けです。」
「なっ!?」
「手を離さないと…ぶっかけますよ。」



ついでに叫びます。

そう言って、抱え込んだ花瓶を構える。
先輩を睨みつけるのも忘れない。



第三者にこの状況を見られたからか、それとも女相手に手は上げられないと思ったのか、はたまた他人の介入に気を殺がれたのか。
先輩は小さく舌打ちすると、もう一人の先輩と連れ立って、この場所を後にした。



「ふぃー、やっと行ってくれた。よかったね、蓮く……!!」



額の汗を拭う真似をしながら、壁際の彼に話しかける。
けれど、彼から流れてくるオーラのようなものにピシリと固まった私は、最後まで言葉を発することはできなかった。



うわーこえー。
すげーこえーよ。



それからお花見までの小一時間。
練習室に引っ張り込まれた私は、蓮くんの無言の圧力に(正座で)耐えるハメとなるのだった。








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