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「3年B組、柚木梓馬です。専攻はフルートです。」



一番手はフルート専攻だという柚木先輩。

さっき絡まれていた私たちを助けてくれた人だ。
相変わらず華やかな笑顔を貼り付けたまま、簡単な自己紹介をしていた。



「3年B組、火原和樹!専攻はトランペット。よろしくねっ!」



次は火原先輩。

柚木先輩と一緒にいた人。
元気な火原先輩にトランペットはよく似合いそうだ、とぼんやり思った。



「2年A組、月森蓮。バイオリンです。」



三番手は蓮くん。

相変わらずの仏頂面。
また時間が無駄になる、とでも考えているのかもしれない。



順調に回っていく自己紹介。
学年とクラス、名前、専攻を述べていくだけの、本当に簡素なものだけど、それぞれの性格がうかがいしれるような気がする。

そんなことを思いながら、蓮くんの隣に目を移して、またしても私は固まった。


次は彼の番。



「1年A組、志水桂一です。」



私が覚えているのはここまでだった。
彼の専攻まで聞いている余裕がなかったから。



ニコルじゃない。
彼はニコルじゃないんだ。



必死に自分に言い聞かせる。



だってあの子はもういないじゃない。



頭の片隅でそんな声がしたような気がした。








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