03-3





「私は麻宮花梨だよ。」



今度こそ教えてあげないとかわいそうだと思い、素直に名乗る。

このファータっていう妖精、初めて見たときはびっくりしたけど、なれてくると結構かわいいんだよね。
おちょくるとムキになるところとか。



「さっきも言ったが、我が輩はリリ。アルジェントとして、この学院の区域を担当しているのだ。」
「よろしくね、リリ。」
「こちらこそよろしくなのだ。」



ようやく名乗ることができた私は、ふと思ったことをリリに聞いてみることにした。



「リリはなんでこの学院を担当しているの?」
「おぉ、よくぞ聞いてくれたのだ。それには長い長い、一言では語り尽くせないいきさつがあるのだ!」
「ん、じゃぁいいや。」
「聞いてくれないのか!?」
「だって長いんでしょ?」
「むぅ……昔、我が輩が…」
「へぇそうなんだーすごいねー。」
「人の話は最後まで聞くのだ!!」



ほらね、おもしろい。
こうしてる間も、人の話はちゃんと聞け、とわめいている。
そもそもファータは人間じゃないじゃない…ほんとおもしろい子たちだなぁ。



「さっきはどうしてぶつかってきたの?」
「むぅ、さっきは猫に追いかけられていたのだ…動物たちには、我が輩たちの姿がまれに見えるからな。」
「ふーん…」



そういえばこの学院には誰かが餌をやっているであろう猫がいたな…。
すごく育っちゃってる猫。
そっか、あの猫に追い回されたならちょっと怖いよね。


少しリリを哀れに思っていると、私の体内時計が昼食の時間を知らせてきた。








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