彼女らとバルバッド
スパダ「ここがバルバッド…」
エナ「思ってたより平和そうだね」
スパダ「カントリー風な家々だ」
アルコ「先輩、エナさん、何やってるんですか!
バルバッドの美女が待っています!先を急ぎましょう!」
スパダ「目的が違うだろーが」
エナ「そうね。探しに行きましょ、美男美女」
スパダ「エナまで!?」
エナ「ジャーファル似の人を見つけて寂しさを紛らわす」
スパダ「そういう魂胆かよ!」
船に揺られること数日。
彼女達、シンドリア密偵部隊は、バルバッド王国へと着いたのだった。
*
アルコ「お店も賑わっていて綺麗ですね」
エナ「そうだねー」
スパダ「いや、あの壁に書かれてる文字を見ろ」
エナ「なるほど」
アルコ「なかなか訳ありですね」
スパダ「エナ。そろそろ別行動しねーか?」
エナ「そうだね、じゃあ夜に集合。場所はあそこね」
アルコ「了解!」
スパダ「いや、待てよ、あそこって、打ち合わせも何もしてねーじゃねーか!」
エナ「さらばっ!!」
スパダ「じゃなくて」
エナ「うぐふっ、耳をつかむなっ」
アルコ「先輩、覚えてないんですか。あそこですよ」
スパダ「知らねーし!」
エナ「しょーがないなぁ、じゃあ変更ね。場所はここにする」
スパダ「嘘つけ、今初めて決めただろ!」
エナ「よーし、じゃあ、行くよおう」
スパダ「お前の掛け声はいつも気合い入らないよな」
アルコ「エナさん押忍!」
*
ピスティ「シンドバッド様!バルバッドの件で!」
シンドバッド「ん?」
ピスティ「伝書鳩が来たよ。大きい声では言えないけど、エナさん達から」
シンドバッド「よし、俺の自室に移動だ。ジャーファルも呼ぼう」
*
ピスティ「…今、内乱でシンドリアを騒がせているのは霧にまみれて現れるという盗賊”霧の団”。
2年前に城の宝物庫を破り、国でも手に負えない勢力へと化した。
ただ、襲うのは貴族の館など。
そこで手に入れた金品を人に分け与えるので、英雄視する人もおり、ゆえに彼らは義賊とも呼ばれる。
トップは元々カシムという青年が務めていたものの、最近になって”怪傑アリババ”に変わった。
それ以後は益々騒乱が激しくなっている。
怪傑アリババは顔を隠してはいるが髪は金髪。また、元トップであるカシムは特定できず。
幹部の女は赤い霧を発生させ警備員達を惑わせていることから、その霧は人体に何らかの影響を与えると考えられる。
そして、もう一人の幹部の男が持つ道具は触れた扉を霧に変え、壊した。
主に盗む際に使っていた道具はその2つだ、だって」
ジャーファル「なるほど。彼らが発って1週間。これだけ良い情報が手に入るとは」
シンドバッド「密偵の優秀さに関心だな!」
ピスティ「ふぅ」
シンドバッド「ピスティも読み上げてくれてありがとうな」
ジャーファル「うーん…バルバッド、海上交易を再開できるような状態ではないのでしょうか」
シンドバッド「そうかもしれないな」
*
アルコ「伝書鳩は届いた頃でしょうか」
エナ「そうだねえ」
スパダ「明日はどうする?」
エナ「明日はそれぞれ、服を見繕ってきて」
スパダ「お前、やっとまともに指示出したな」
アルコ「服?どうしてです?」
エナ「私達、目立つかなって。だから、ここに馴染むような服を着よう」
スパダ「今更すぎるだろ」
エナ「気付いたのが遅かったから仕方ないでしょ」
スパダ「自覚してんのかよ」
アルコ「でも、それだけじゃなさそうですね」
エナ「そ、もうひとつ目的はあるよ」
スパダ「あの事前会議で決めたやつか?」
エナ「うん。バルバッドの内乱事情が分かった時点で、平和的なリンゴ作戦は使えない」
アルコ「そうですね」
スパダ「ねえ、事前会議の時さ、作戦は数字で呼んでなかったっけ?」
エナ「ここは少し危険だけど、パイナポー作戦で行こうと思う」
スパダ「なにパイナポーって」
アルコ「エナさんなら、そう言うと思っていました。僕は賛成です」
スパダ「全然どの作戦か分かんねーよ!俺!」
アルコ「え?聞いてなかったんですか?ミカンがシンドバッド王が来るまで状況を見る、でしょう。あ、言っちゃった」
スパダ「新しいフルーツきた!」
アルコ「ちなみにこの会話は筆談です」
エナ「ホワイトボードとびっくり!消える水彩マーカーとティッシュでお送りします」
スパダ「別に、作戦はボードの中に書いても大丈夫だろーが。何で書かないの?俺分かんないんだけど!」
アルコ「面倒だからに決まっているでしょう」
スパダ「ふざけんな!」
エナ「っていう事で、少し危険だけどパイナポー作戦で行こう」
アルコ「了解」
エナ「読んでくれている人のためにも頑張ろうね!」
アルコ「エナさん!はい!」
スパダ「まず王様のために頑張ろうね」
28.3.25
長台詞おつかれピスティちゃん
ツッコミ過ぎて利き手が腱鞘炎になるスパダさん
バルバッドの美女を堪能したいアルコくん