834年
レア・ロンバルド 12歳
あの頃は楽しかった。
散々バカやって怒られて、ときには憂鬱な気分にもなったけれど、友達には恵まれていた。
私の過ごした青春時代は、とても幸せなものだった。
それを彩る人の内に、ハンジも含まれている。
「......アイツって悪魔なの?」
「そ、そんなことはないと思うけど」
私は最初、ハンジが嫌いだった。
元々人とすぐに仲良くなれる性格でもないし、ずうずうしくされるのは嫌いだ。
「私のこと都合いい女だと思ってんの!きらい!」
「それ結局別れられない女のセリフ」
寝不足の私に気を使って温かいミルクを持ってきてくれたのは二個上のおねえさん、現・駐屯兵団参謀のアンカ・ラインベルガーだ。
ちなみに年齢を聞くと怒られる。敬語を使っても怒られる。極力若くいたいという心のあらわれなのだという。そしてその時はまだ14歳である。
この時の訓練兵団には結構年齢いってそうなオジサンとかもいて、年代はバラけていた。なんでかって、その時はまさか巨人が壁を壊しにくるとは皆みじんも思っていなかったから。
ゆとり世代、なんて言葉を使えばピッタリなんだと思う。
そんな中、ハンジと私だけが12歳だった。
「アイツ、仲良いって勝手に思い込んでるんだよ。
私は全然仲良いつもりないんだよ?なのに。
昨日なんて巨人の話で寝かせてくれないし!
ハンジ、巨人が嫌いなくせに巨人の話をすると止まらないんだよ!
そのせいで今日訓練の時に足を怪我したんだ!
ほんっとアイツ悪魔だよ!私を壁外に出す前に殺す気なんだ!!」
「いや、言い過ぎじゃない?」
「レア!!!そんなこと思ってたのか!!ホントごめん、私は何も分かってなかったね___」
「ハンジ?」
「来たか悪魔め」
「最初から全部聞いてたよ!
本当に、殺すつもりなんてないんだよ。
でも、レアが壁外に出たいと思ってるなんて!!そうか、そうなのか!!!」
「は?」
「じゃあ壁外について今夜も語り明かそうじゃないか!!!
昨日とか覚えてるだろ!あんな熱い夜はなかった!!今夜も燃え上がろう!!」
「え!!?」
「___まあ、ハンジがそういうなら付き合ってあげてもいいけど」
「え!!?」
「ようし決まり!!じゃあ夜に私のベッドにおいで!」
「仕方ないわね」
「あなた達、できてるの.........!?」
30.8.15
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