翳り | ナノ



ゆかり色付けど君知らず











「朧、なぜこの船に、」


「上司が天導衆に呼ばれているからだ。

透、お前こそなぜこの船にいる。
しかも、こんなラフな格好で」


「ここにはよく来るんだ。別に畏まらなくても良い。

今日は君達 警察が荒らした煉獄間の後始末のために来た」


「____そうか。すまなかったな」


「あまり仕事を増やしてくれるなよ。

奈落は他の行事にもお呼ばれしてるんだ」


「何を言う、裏行事だろ」


「はは、ごもっとも」













「透。その羽織りは男物だろう」

「ああ、そうだよ」


「お前は女なんだ、もっと女らしい着物を選べばよいものを」


「女のファッションに口出すとは良い度胸だね」


「お前がベソっかきの頃から知ってるんだ。
遠慮はとうの昔に捨てただろう」


「べそかいてたのは朧だよ」


「いや透だ」

「いーや朧だ」


「まさか、(外見は女らしい)先生に似ていると言われるのが嫌だから 男らしく見えるようにそれを着ているのではあるまいな」


「________」


「お前は思春期の娘っ子か。32にもなって何をやっている。

背だけ異様に伸ばしおって(推定170)、阿呆」





「______分かったからもうやめてください」


「分かればいいんだ、分かれば」




















「先生(あの人)は元気か」


「どうだろう。最近は会わないね。

日がな 年寄りの相手をしていると聞いた」


「馬鹿言え。あの人が一番の年寄りだろう」


「違いないね。

けどただ一つ言えるのは_____」








「オイ朧、誰だそのイケてる兄ちゃんは」





「松平様、この方は 天」





「通りすがりの 海賊王です」





透!いくら何でも無理があるだろう___!!!


煩いわ朧!!中年男性なら多少厳しい戯言も通じると先生(あの人)も言っていただろ!


残念だったな透__この方は中年を通り越した爺様だ!
後ろのゴリラも疑心の目を向けているだろうが!


後ろのゴリラはペット枠だ。口を開くことはない。多分。


戯け。人間の姿をしたゴリラは喋るぞ。






「お前ら顰めっ面して何?静かなるケンカ?サイレントファイト?」










「天にティッシュのお使いでも頼まれたか、烏」




___やはり、ばれていたか。




「いえ、どちらかというとトイレットペーパーです」


「流石、日頃から定定公のケツ吹いて回ってる奴の言うことは違ぇな」


「今回に限っては あなた方のケツ拭きですがね。警察庁長官殿」





「まァいい。お前は娑婆の人間じゃねェが、コイツと仲良くしていたことは オジサンに免じて黙っといてやろう。


それに こちとら、お前みてェなフレッシュな兄ちゃん求めてたんだ。






_____透。

オメェさんに手伝ってもらいてェヤマがある」







30.3.20


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