17かわいそうにモブリット








「それで、新兵の世話係の話だが……熟練兵士から二人ほど割くのはどうだろうか?レアはどう思う?」

「私は要らないと思います。
104期はあの死線を潜り抜けた逸材の宝庫。15の彼等はもうお子様ではない。

それに。此処には既に沢山の熟練お子様がいますが、今まで世話係など用意しなかったでしょう?」

「一理あるが、今は状況が状況だ。マリアを放棄したばかりだぞ?新兵の精神管理が必要だとは思わないか?」

「本当、貴方はお優しいですね。
ですが現状、世話係に人員を割く余裕がないのです。
そこで、私は何十人の新人をケアするより、一人の指導者の種を育てる事を優先すべきだと考えます。マリア奪還の為、また多くの犠牲が出るのでしょうから。」

「指導者の種、とは誰の事だ?」

「モブリットです。彼は巨人の生態について詳しい。それに、いい加減あの子の世話から開放してあげたい。
ああ、あの人というのは勿論、」

「レアーーーー!!!!」

「ごふっっっ!」

「そうか。彼を一番の熟練お子様、ハンジから卒業させなくてはな。」

その通り。ハンジの暴走を封じる事に成功した者は未だ調査兵団の中には誰もいない。威勢が良い事から初め期待されていたモブリットは尻に敷かれた。威勢が良過ぎて手も足も出る為、暴力で封じることが出来るだろうと期待されていたリヴァイも、気付いた時には親友に成り上がっていた。

私はそんな彼女の同期である。訓練兵時代には夢を語り合った仲だ。あの時のハンジは巨人への恨みで一杯だった。巨人を殺す事……すなわち人類の復讐を果た、果た…………あれ。彼女はいつから巨人狂いになったのだったか。

兎にも角にも今、ハンジによりエルヴィンとのブランチを邪魔されたのだ。エルヴィンと食事、雑談するゆるやかな幸福の時間、束の間の休息を………おのれハンジ。私の気持ちなど全て分かった上での強襲だろう。

「おっと!突然だったね、失礼エルヴィン!
あのさレア!話があるんだけど!」

「大丈夫だ。」

「………私にも謝りなさいよ。」

「あはは!ごめんごめん!慣れっこかなって!」

「心臓つぶれるかと思ったよ。」

「大丈夫だよ!もう捧げてるから!」

「そういう問題じゃないよ。あー、いてて。」

私は痛む背中を片手で抑えた。すると、隣から手が伸びる。私は驚きから目を見開いた。エルヴィン自ら、私の腰を摩って下さったのだ。
おおおおお!?こういう展開待ってた!腰って全面的にエロい!いい!ナイスハンジ!
心の中で密かに歓喜していると、更にエルヴィンは私に向けてこんな冗談を言い出す。

「はは。肋骨でもやられたか?レア。」

「あーあー。言われてみれば肋骨が……。

そんな訳だからごめんねハンジ。もう貴女にオンブもダッコもオシメ交換もしてあげられないから。ついでにモブリットも異動させる。」

「あー!だめだめ!待ってよレア!

モブリットがいなくなったら、就寝前の巨人絵本の読み聞かせは誰がしてくれるの!?」

「そんなことやらせてたのか。」



「あなたは気付いていないようだけどね、モブリットに毎月そっと胃薬を渡してるのは私なんだから。」

「仲が良いのは良い事だが、モブリットにあまり迷惑をかけるなよ。」

「くれぐれも彼の胃に穴を開けたり、頭を禿げ上がらせたりしないで。彼はまだ20余歳なんだよ?」


「す、すみません…………。」








29.5.8



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