くろあか | ナノ

 十三話 毒の人




「ただいまですー」
「おかえり」
「ゆあ◆」
「あっヒソカさん!」

カウンターのところにマスターさんとヒソカさんを発見して駆け寄る。ヒソカさんの隣に腰掛けるとマスターさんがホットココアを出してくれた。んーこのクリーム乗ってるのがいい!

「イルミに何もされなかったかい?◆」
「?イル、ミ…さん?」
「あれ、自己紹介もしてないのかい?」
「聞かれなかったから」

そう言って口を開いたのは
黒い髪、黒い瞳のさっきの人だった。

「えっ!?イルミ、さんって毒の?!」
「……どんな話ししたのヒソカ」
「ん?◆」
「まあいいや。」

イルミさんはわたしの隣に腰掛けた。…ええええ、わたしそうとも知らずにオバケだの怖い人だの散々なこと…っ!

「ごめんなさいっ毒だけは勘弁してくださいっ!」
「…ほら、変な誤解してる」
「ククク◆」

はあ、とため息。
ヒソカさんはおかしそうに笑っている。

「イルミ=ゾルディック」
「へ?あっ、とゆあです!」
「うん」
「日本…あ、ジャポンの人じゃないんですね…」
「……そこ?」
「え?」

どこのことだろうか…?なんかわたしまた変なこと言った?ちら、とマスターさんとヒソカさんをみると二人ともやれやれ、と言った感じでため息ついた。え?なになに!どういうこと?!

「ゆあにはそういうの通用しないぞ」
「バカだからね◆」
「ストレートに言わんとな。伝わらん。」
「バカだからね◆」

ヒソカさんばかばかうるさいです!
むーっとむくれながらココアを飲む。

「ゾルディック、って聞いてわからない?」
「?」
「……俺の家有名だよね?」
「そりゃあな」
「だからゆあがバカなのさ◆」

わたしばかり置いてきぼりさらにはバカだのなんだのひどい言われよう!知らないものは知らないんですっ!

「俺の家、暗殺一家で」
「暗殺、一家…」
「そう。小さい頃から教育で毒に抵抗を作るために、毒入りの飯を食べて育った。」
「…あ!それで毒!」

なるほど!納得です!毒入のごはんとか…うえーやだなーわたしは食べるの大好きだからそんな美味しくなさそうなのはいやだ!絶対!謎が解明されて満足した。ココアをもうひと口飲んでまったり。

「…反応するとこ違うでしょ」
「だからこいつにそういうのは無理だって」
「そうそう◆」
「はあ…ホントわかんないな」

またなんか貶されてる気がするが気にしないことにしてココアを飲み干した。

「じゃあごはんの前にシャワー浴びてきますね」
「おう」

汗が気持ち悪かったので駆け足で階段を上った。今日の修行はかなり有意義だった気がする。技の形もみえてきたし…あっ名前どうしようかな。


その後ろ姿をみて
マスターはため息をついた。

「なあヒソカ。あいつほんとに記憶喪失か?」
「さあ?◆」
「さあ…ってお前なあ」
「俺のこと知らないしね」
「んー◆」

ヒソカはいつものように笑うだけだった。…こいつ自身も聞いていない。それか知ってて教える気がない。まあ後者だろうな、ともう一つため息。

「暗殺一家について、なにも言わなかったしね。」
「ま、ゆあ鈍感だからね◆」
「…そういう問題か?」
「きっと今頃思い出してビビってるよ◆」




ヒソカさんの言うとおりで、わたしはシャワーを浴びながら思い出していた。

「あ、暗殺一家…ってええええ?!」



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