「ゆあ」
「あ!マスター!」
カウンターにてマスターさんを見つけて駆け寄る。しっぽがあったら振りたい勢いに嬉しい!
「マスターさん!」
「…言いたいことはわかる。」
「うう…」
頭を撫でられて慰められた。これこそがわたしの癒しー!マスターさんはわたしのおじいちゃん的な存在なのだった。
「修行、行ってきますねー!」
「おう。気をつけろよ。」
「はーい!」
癒されて満足したわたしはうきうきるんるんで森へと向かった。もうさっきのおばけ事件のことなんか宇宙の彼方に飛んでいた。
今日こそ!念で数字書けるようになる!それでヒソカさんを見返すぞ!と気合十分だった。
「…なんかしたのか」
「いや?おばけと間違われた」
「…ゆあらしいな」
マスターが走っていく
ゆあの後ろ姿をみながら微笑む。
「あんたのそういう顔、初めてみた」
「ん?…ああ、あいつは不思議なやつだからなあ」
「ヒソカもか」
「…毒抜かれんだよ。ゆあといると。」
確かにあまりにも普通の女の子すぎてびっくりした。少しちょっかいを出そうかと針を忍ばせていたがその気もなくなっていた。
カルトよりも少し年が上だろうか。黒い髪、白い肌。少し似ているなと思った。落ち着きの無さとコロコロと変わる表情は似ても似つかないけれど。
「まあ俺には関係ない」
「そーかそーか」
「なに」
「なんでも」
意味ありげに言われて気にかかった。しっし、ほら早く行け。と言われてとりあえずゆあを追いかけた。
「なにもなかった時点でお前も毒抜かれてるよ…イルミ」
マスターのため息は誰にも届かなかった。