「ある程度は戦えるんだね◆」
「…いや、でもほんとに全然ですよ?!」
「ボクに一発入れることはとりあえずできたんだ◆」
「でもガードされてますし!」
「ボクは全部避けるつもりだったんだけどね◆」
あ、やっぱり。と心の中でつぶやく。意表をつくような形だったけど正解だったんだ。果たしてこれが吉とでたか凶とでたか、と言われたらヒソカさんの笑顔を見る限りどうみても大凶だった…いい笑顔すぎて怖い…
「さあゆあ◆続きをしようか◆」
「う、あの…今日はもう、やめっ」
―バシッ 「っう!」
「ゆあがもう一発入れられたら、やめてあげる◆」
「っ…それ、やめる気ないですよね…!?」
言葉を遮るように飛びかかってくる。両手を胸の前でクロスしてなんとか防いだ。ニッコリ笑ってもちろん◆と笑われて背中を冷たい汗が流れた。
「ほら、早く◆」
「っ…やるしかない…ですよね…」
逃げられるとは思えない。
一度目を閉じて、深呼吸する。
目を開いて覚悟を決めた。
と、いうかんじで3時間ずっと殴ったり殴られたり繰り返している。もちろんヒソカさんは手加減してくれている。こちらの攻撃はほとんどガードされたり避けられたりいなされたりと散々だ。
「っはあ!」
「おっと◆危ない危ない◆」
―ひゅっ
しゃがみこんだ体制からフェイントで下から攻撃をしかける。もちろんよけられるのは想定済み。間合いを取られる前に踏み込んで詰める。
「ま、だ…まだあっ!」
「隙だらけ◆」
「!」
踏み込んだところにヒソカさんの膝蹴りがくる。予想はできていたので右に跳ぶ。そこにヒソカさんの追撃でパンチがくる。うまく左にそらすが頬をかすった。
「っくう」
勢いを殺さないようにそのままの流れで思いっきり地面を蹴る。
―バキッ!! 「おっと◆」
「うわっ!」
「捕まえた◆」
足を掴まれてしまった。簡単には離してくれなさそうだ。ぐいっと足を引かれてバランスを崩す。ヒソカさんの拳が迫ってくるのを目の端で捉えて、腕でガードする。
―バシッ! 「くっう…」
手加減してくれてるとは言えヒソカさんの一撃は重たい。じんじんするのを我慢しながら隙をみて掴まれていない方の足で跳ぶ。頭を狙って蹴った。
「残念◆」
「っ!」
が、やっぱりかわされて虚しく宙を蹴るだけに終わる。
―スタッ
掴まれていた足が自由になったので地面に着地した。視線を戻すとヒソカさんはいなかった。?!や、ばっ!…と思ったときにはすでに遅く。
「もうちょっとだったね◆」
「っ!…はあ」
ヒソカさんはいつの間にか後ろに立っていた。…全然気づけなかった。
「ほんとゆあは面白い◆」
「…それ褒めてます?」
「もちろん◆」
ヒソカさんに頭を撫でられる。それと同時に緊張がとけて一気に疲労がどっとくる。つ、つかれた…
「うん、じゃあ帰ろうか◆」
「はい…シャワー浴びたいです」
「一緒に入る?」
「入りませんっ!!」
「残念◆」