水泳はお父さんが勧めてくれて
格闘術はお母さんに教わって
小さい頃は習い事がめんどくさいなって
思うこともあったけど…
いま習っててよかったなって思った。
お昼を食べたあとは森で修行だった。
「ゆあは戦闘はどう?◆」
「えっと…小さい頃に格闘術を少しだけ、習ってました」
「へえ◆」
「いや!でもすぐにやめちゃったので!全然!全然ダメです!」
ヒソカさんの目が一瞬嫌な感じに光ったので慌てて訂正した。確かに習ってたけど10歳ぐらいで水泳の方が楽しくなってやめてしまった。
「んーじゃあまずはボクに一発入れてみて◆」
「……え?」
「ボクはここから動かないから自由に殴りにきていいよ◆」
「……え、ええ?わかり、ました…」
ヒソカさんはニヤニヤ笑ったまま仁王立ちになる。
え、これってなに?よく趣旨がわからないままにとりあえず習った格闘技の型を必死に思い出す。そう、まずは深呼吸だ。
「ふー…」
「(雰囲気が変わったね◆)」
「はー…行きますっ!」
拳をぎゅっ、と握りしめて
思いっきり殴りかかった。
「ほら、ゆあ立って◆」
「っぜえ…はっ…鬼っ!」
「ボクが敵だったらゆあはもう死んでるよ?◆」
「くっ…はあ…すー、はー…っまだまだ!!」
「そうこなくっちゃ◆」
あれから3時間ほど。ずっとヒソカさんと組み手をしている。
最初の一撃。実はうまくヒソカさんにあたっていた。動かない。とヒソカさんは言っていたけどたぶんうまく軌道をそらしたり軽くいなされてしまうんだろうな…
とヒソカさんの性格的に考えていたので正面から殴る、とみせかけて左からパンチをくり出した。
「!」
「っはあ!」
一瞬目を見開いたがヒソカさんは軽くいなして上半身を傾けてよけようとする。
「(…予想通りっ!)」
力をいなされる前に左足を踏み込む。受け止められた左手を軸にそのまま回し蹴りをくりだした。
「はああっ!」
「!」
―バシッ! 「っあ!」
しかしやっぱりうまくいかずに
ヒソカさんの腕でガードされてしまった。
「うう…やっぱりそう簡単には行きませんよね…」
「………クックックッ◆」
「……えっと、あの、ヒソカ…さん?」
「いいよ…いいよゆあ…◆」
うっわあ、気持ち悪い笑顔!!本能が危険だと教えてくれるまでもなくみたら誰もが逃げ出したくなるような!!
「誰に教わってたの?◆」
「え、と…お母さんです…」
「へえ?◆」
それが以外だったのか笑顔が消える。
お母さんはすっごい優しそうで温厚そうな雰囲気なのに実は負けず嫌いで格闘技が大好き。小さい頃、「女の子でも自分を守る術は持ってないとダメよ?」と言われお母さん我流の格闘術を教わっていた。
まさかこんな形でいきてくるとは思わなかったけど。