「う…ん…」
なんか…イケメンを抱き枕にする夢を
みていた気がするんだけど…
と寝起きの頭でなんとなく考える。
「んー」
起き上がって大きく伸びをする。辺りを見回すとすでにヒソカさんの姿はなかった。お仕事って言ってたかな?あれ?
立ち上がると机の上のメモをみつけた。
『寂しがりで甘えん坊のゆあの為に今日はなるべくはやく帰るね◆』
「………いやいやいや」
冷や汗が流れた。
いやいやいや…夢、だったよね?ね?!
メモを机に戻す。これが夢だったらいいのに…
「…はあ、よしとりあえずごはん食べよう」
昨日ヒソカさんが買ってきてくれたパンと牛乳。卵が冷蔵庫に入っていたので目玉焼きにしてトマトを添えた。
親が共働きだったので
ごはんを自分で作ることも多かった。
たまに惣菜がおいてあることもあったけど、なんとなくラップに包まれた冷たい惣菜をみると暗い気持ちになってしまうのでほとんど手をつけなかった。
備え付けのテレビをつけるとニュースが流れていたのでなんとなく聞き流す。殺し…火事…失踪…なんだかんだこの世界もあまり変わらない。
「ヒソカさん…のお仕事ってやっぱり殺し、だよね…」
パンをほおばりながらなんとなく考える。いつもニヤニヤ笑ってるし、変態だしセクハラもしてくるし、発言おっさんだし変態だし、変態だし、変態だし…
でも初めて会ったときのことは覚えてる。
血まみれで倒れる男の人たち。
その中にヒソカさんは立っていて
殺したんだ…ヒソカさんが。
「…わたし、変なのかな」
ニュースで殺人事件があると怖い。
それは当たり前だ。
なのに人殺しのヒソカさんは怖くない。
怖くない…といったらそれは嘘かもしれない。
初めてあったときに倒れていた男の人たち。
あれを殺したのはヒソカさんで
わたしも下手したら殺されていたはずで、
「いま生きているのは、ほんと偶然だし…」
ヒソカさんの気まぐれでもある。
利用し合うって言っていたし
きっとなにか考えがあってわたしを
生かしているんだと思う。
「それまでになんとか力をつけて、ヒソカさんに殺されない程度にはならないと…」
これがどんなに無謀なことなのかヒソカさんのことを全然知らないわたしはもちろん知る由はなかったわけだけど。
「よしっ勉強と修行しよう!」
ごはんを食べ終えて片付ける。
ヒソカさんが一緒じゃないと外に出ることは禁止されてしまっているのでとりあえず勉強と修行をして一日を過ごすことにした。